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アフガニスタンやインドからの元留学生が教師 「双方の課題、理解へ」 宜野湾市に開校、GLOCALキッズ 沖縄


アフガニスタンやインドからの元留学生が教師 「双方の課題、理解へ」 宜野湾市に開校、GLOCALキッズ 沖縄 アフガニスタン出身の教師がプログラミングの学習サポートをする様子(提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 嘉数 陽

 宜野湾市大山に2023年12月に開校したオルタナティブスクール・学童の「琉球GLOCALキッズ」では、アフガニスタンやインドからの元留学生らが教師を務め、主に英語で子どもたちと交流している。教師の中には、21年8月に武力で復権したイスラム主義組織タリバン暫定政権の影響により故郷で暮らすことができず、命からがら沖縄に逃げてきた人もいる。代表を務める琉球大学グローバル教育支援機構准教授の山元淑乃さんは「不登校など課題を抱える子どもには、広い世界を知ってほしい。教師を務める彼らには、この学校を通して地域に溶け込み、今後の活躍の幅を広げてほしい」と期待を込める。

 山元淑乃さん

 山元さんは大学で留学生の支援をしている。アフガニスタンからの留学生も多く、博士号や修士号を取得し帰国後に国の要職に就くはずだったが、タリバン政権下では迫害対象となり、帰国が難しくなった。すでに帰国した元留学生からは「助けてほしい」と多くのメッセージが届くようになった。

 山元さんは、不登校の子どもの支援や「ありのままの自分を好きになれる子どもの居場所づくり」も考えていたため、留学生らを教師として迎え入れ「グローバルとローカル、両方の視野を持った、他者や多文化を認め合える学校をつくろう」と思い至り、「琉球GLOCALキッズ」を開校した。

 同校では子どもと教師が、主に英語を主言語としながら交流している。自然と互いの言語を教え合う雰囲気の中で、プログラミングなど独自の授業が進む。

 教師として働くアフガニスタン出身のシルジ・アマイドさん(30)は「留学を受け入れて支援してくれている琉球大と山元さんには心から感謝している。恩返しをしたいという気持ちだ」と語った。

 山元さんは「教師も子どもも、複雑な課題を抱えている。課題の内容も言語も違うけど、交流することで相互理解につながる。誰一人取り残さない世界は、こういったところから実現できると信じている」と力強く語った。

 (嘉数陽)