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不登校対応が多様化 専門医と連携、ICT活用も


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 不登校の児童生徒数が2022年度で約29万9千人となり過去最多を更新する中、各地の市町村が対策に本腰を入れ出した。フリースクールや専門医と連携したり、生徒に登校を強いないなど各個人の実情に合わせた対応をする施策も登場。子どもへの支援が広がりつつある。
 岐阜県美濃市は23年度から、不登校の子どもを長年診てきた医師が子どもや保護者からの相談を受け付ける事業を始めた。診察経験豊富な岐阜大大学院の加藤善一郎教授が対応。これまでに40件近くの相談が寄せられたという。
 全教員向けに研修会も開催し、加藤教授が学習環境や体調といった不登校の原因などを説明。教員からの相談もオンラインなどで受け付けており、昨年4月の研修会に参加した40代の女性教諭は「専門的なサポートを受けられるのは安心」と話した。
 大阪府大東市教育委員会は22年春、情報通信技術(ICT)も活用した不登校の子ども向けの支援モデル「学びへのアクセス100%」を打ち出した。不登校指導員を市立校に配置し、教員と連携。民間スタッフによる支援拠点なども充実させ、子ども側の選択肢を増やした。
 不登校対策は従来、登校を“ゴール”と捉えがちだったが、同市教委は「学校へ行く・行かないにかかわらず、誰一人取り残さない教育の実現」を掲げる。「不登校の理由が多様化し、一律の対応はそぐわない」と担当者は語った。
 年間の授業時間を減らすなど教育課程を柔軟に編成できる「学びの多様化学校(不登校特例校)」の設置を表明する自治体も相次ぐ。
 17年施行の教育機会確保法は、特例校の整備を国や自治体の努力義務としており、現時点で高校を含め全国に24校。文科省が昨年3月に公表した不登校対策では300校を目指すとした。
 こうした中、福岡市は昨年8月、中学生を対象とした特例校を25年春に開設すると表明。大分県玖珠町は小中一貫の特例校を24年春に開校予定としている。