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小学校 体制整備遅れ 「医療的ケア児」受け入れ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 人工呼吸器や、たんの吸引などが日常的に必要な「医療的ケア児」を巡り、総務省行政評価局は8日、受け入れる小学校の体制整備が遅れているとの調査結果を公表した。看護師配置が間に合わないケースなどがあった。教育機会の確保に加え、付き添いを理由とした家族の離職や休職を防ぐため、文部科学省に状況改善を要請した。32市区町村の教育委員会や小学校36校などを抽出した調査によると、看護師の確保が遅れ、保護者が数カ月間の付き添いをする事例があった。看護師の休暇や校外学習の際はケアができず、付き添いを求めている学校も多かった。一部の教委は、ケア児が入学するのを事前に把握できていなかった。
 評価局は、看護師が出勤できない場合は、訪問看護ステーションにケアを委託するなど工夫している教委もあるとして、付き添いの解消を求めた。ケア児の入学は、自治体の福祉部局との連携などで早期に把握すべきだとした。
 災害への備えが不十分とも指摘した。一部の小学校では、人工呼吸器を使うケア児が在籍しているのに非常用電源が未配備だったほか、非常食や医療器具の備蓄が不足していた。災害時は保護者に引き渡しができない恐れがあるため、校内で長く待機する時の対応策を事前に決めておく重要性にも言及した。
 医療の進歩を背景にケア児は増加傾向で、厚生労働省の推計で全国約2万人が自宅で暮らす。付き添いがなくても学校に通えるよう支援する法律が2021年9月に施行され、評価局は状況を調べた。