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幼小教育接続に共通認識を 「子ども主体」の意識重要 「架け橋期」求められる深い学び


幼小教育接続に共通認識を 「子ども主体」の意識重要 「架け橋期」求められる深い学び 意見交換をする来場者=7月27日、西原町の沖縄キリスト教学院大学チャペル
この記事を書いた人 Avatar photo 嶋岡 すみれ

 保育園、幼稚園、こども園と小学校間の接続について共通認識を持ち、現場での実践につなげようと、フォーラム「幼児教育と小学校教育の接続を考える~こどもたちを真ん中にそれぞれができること~」(主催・保幼こ小の教育を考える会)が7月27日、西原町の沖縄キリスト教学院大学チャペルで開かれた。保育、教育、行政関係者ら約200人が参加した。教員らによる実践発表のほか、パネルディスカッションや来場者同士での意見交換などが行われ、接続の課題や連携に必要な取り組みについて考えた。

長期的な視点

 文部科学省は子どもに関わる大人が立場を超えて連携し、架け橋期(義務教育開始前後の5歳児~小学校1年生の2年間)に主体的・対話的で深い学びの実現を図ることなどを目指す、「架け橋プログラム」を推進している。

 こうした動きを背景にして、第1部では、実際の現場でどのような取り組みをしているのか、宜野湾市立はごろも幼稚園副園長の仲松由喜子さんと、那覇市立城西小学校教諭の山中隆行さんが実践発表をした。

 仲松さんは幼児教育施設と小学校が参加する研修会の内容を紹介。「3月に送り出した側と4月に受け入れた側」の複数の視点で子どもの育ちを見ることで、必要な支援や課題が浮き彫りになった経験を振り返った。

 また、発達段階や前後のつながりに目を向ける重要性も指摘。「目の前の子どもを『できる』『できない』の視点だけで見るのではなく、子どもの可能性、後伸びする力を信じることも大切だと思う」と長期的な視点で見守る大切さを強調した。

 山中さんは、自身が担任を務める1年生のクラスでの実践を紹介した。幼児教育施設での遊びを集団づくりや小学校での学びにつなげた事例を説明し、「『やったことがある』『やってみたい』という気持ちから子どもの主体性や協働性が発揮できる」と話した。また「子どもの主体性を考えた時、『教師が何かを教える』というスタイルからの脱却も必要だ」と、従来の意識や姿勢を変える重要性にも言及した。

「子どもの後伸びする力を信じることも大切だ」と話した仲松由喜子さん
幼児教育施設での遊びを学びへとつなげる取り組みの実践発表をした山中隆行さん

課題

 第2部では、来場者同士での意見交換や質疑応答が行われた。参加者からは「そもそも保育園と幼稚園、こども園は文化が違うのに、そこ(の連携)を飛び越えて小学校と接続するのは難しい」と幼児教育施設の横のつながりの課題を指摘する声などが上がった。

 コーディネーターを務めた沖縄キリスト教短期大地域こども保育学科の照屋建太教授は、会場で実施したアンケートで、接続についての課題を「忙しい」とする回答があったことに触れ、多忙な現場の実情に理解を示した。その上で「子どもを真ん中にする時、(園や学校は)誰のためにあるのか考えないといけない」と指摘。接続に向けた担当者が年長や1年生の担任に限られていたり、調整などを担う行政の職員が短期間で異動してしまったりする問題などを挙げ、「どこに課題があるのかよく考えないと(接続に向けた取り組みは)なかなか進まないのではないか」と危惧した。

 (嶋岡すみれ)