コザ高校2年(当時)の空手部男子生徒が2021年1月、部活動顧問から執拗(しつよう)な叱責(しっせき)を受けて自死した問題に関連し、保護者有志でつくるボイチ(ボイスオブチルドレン)沖縄は8月24日、第三者再調査委員会が提出した報告書についての勉強会を沖縄市の福祉文化プラザで開いた。同委員会委員長の古堅豊弁護士が講師を務め、子どもの権利への認識を深める大切さなどを説いた。
古堅弁護士は報告書でコザ高校や県教育委員会、県に出した提言の基礎にある考え方を説明した。子どもの自死事件は全国的に起きているとして「子どもが人権、権利の主体であるという認識が足りていない。それが不適切指導につながっていた。その意識が浸透すれば不適切指導も減ると考えた」と述べた。
子どもの権利を浸透させるための研修などのあり方として、「自死遺族や遺族を支援する関連団体の方に講演してもらうことなどが効果が高いと思う」との考えを示した。講演などの際は話を聞くだけでなく、グループワークなども実施し、参加者同士が互いに考えていくことも必要だと述べた。
県への提言で掲げた「子どもの権利条例の制定」について、今ある条例は子どもの虐待防止に重点が置かれているとして「子どもが権利の主体であることを前面に出した方がいい。今後見直す必要があると思う」と語った。子どもの相談・救済機関(子どもオンブズ等)の設置についても検討を進めるよう要望した。
勉強会には、国内外で子どもの権利保障や児童労働の撤廃・予防に取り組む認定NPO法人ACE(エース)の岩附由香代表も参加し、子どもの権利について講話した。
岩附さんは国連児童基金(ユニセフ)の調査で、2013年に先進国31カ国中6位だった日本の子どもの幸福度が、20年には38カ国中20位に下がっていると紹介。子どもの自殺率も高くなっていることを説明し「個人ではなく社会の問題として考える必要がある」と呼び掛けた。
「子どもの権利は義務を果たしたから与えられるものではなく、どんな状況でも取り上げられない」などと述べ、大人が認識を深め、子どもたちに接していく重要性などを強調した。 (外間愛也)