女児暴行の米軍大佐、有罪覆る 被害女児両親「被害者の正義は守られない」 軍事司法制度の改正訴える


社会
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 6歳の娘が受けた性暴力被害を巡り、米軍の裁判で加害者とされる男の有罪判決が覆ったのは不当だとして、在沖縄米海兵隊中佐の男性(40)と妻の女性(39)が4日、県庁で記者会見した。夫妻は「現在の軍事司法制度では米国人であろうと日本人であろうと被害者の正義は守られない」と制度改正を訴えた。

 夫妻などによると、米ノースカロライナ州で2016年、当時6歳の娘が海兵隊の元上司の大佐から性暴力を受けた。元上司はその以前は沖縄に駐留しており、連絡将校としてオーストラリアに派遣された際もセクハラを繰り返していた。元上司は軍法会議にかけられ、娘の証言をもとに有罪判決を受けた。ただ今年7月、海軍海兵隊刑事控訴裁判所は証言の信用性を否定し、有罪判決を覆した。今後、無罪になる可能性が高いという。

 夫妻や、自身も性暴力被害者で夫妻を支援するオーストラリア人、キャサリン・ジェーン・フィッシャーさんによると、控訴審裁判所は、軍の法律の規定により、証人尋問することなく一審の裁判記録だけで証言の信用性を否定したという。男性は「市民対象の一般の裁判ではあり得ない」と指摘。妻も「制度が変わらなければ、今後も苦しむ人が出てくる」と語った。