歴史薫る 夜の宴 冊封使歓待の舞台を再現 「御冠船踊」「銘苅子」を上演


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野外の特設舞台で演じられた組踊「銘苅子」=5日、浦添市の組踊公園(国立劇場おきなわ提供)

 国立劇場おきなわの研究公演「御冠船踊と組踊『銘苅子』」が5日、浦添市の組踊公園で行われた。組踊を生んだ劇聖・玉城朝薫が1719年、冊封使歓待のために創った舞台を再現した。組踊上演300年の節目に、学者と実演家が協力して作り上げた舞台は「満員御礼」となった。150年ぶりに復元されたからくり仕掛け花火が、劇場初の野外公演の最後を飾り、華々しく幕を下ろした。

 「銘苅子」は、天女と、天女が人間・銘苅子との間にもうけた子どもとの別れや情愛を描いた物語。天女が舞い下りる場面や再び昇天する場面に登場する松の木は通常、大道具が用いられる。本公演は舞台と後方の楽屋をつなぐ橋掛かりを天空に見立て、大道具なしで演じた。往時を思わせる演出で観客を魅了した。

 国立劇場おきなわの嘉数道彦企画制作課長は「300年前の舞台演出で確認できるものは限られており、想像で補う部分も多かった。今回の舞台は一つの検証の結果だ。新たな資料が発見され、次の節目により正確に再現されていくことを期待したい」と話した。