玉城デニー知事会食問題 疑惑消えず 県政野党「利害者との癒着」批判 識者「県の説明責任問われる」


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自民側から追及を受け答弁する玉城デニー知事=1日、県議会

 玉城デニー知事が設置した「万国津梁(しんりょう)会議」を巡り、玉城知事と受託業者らが契約日前日に会食していた問題で県議会9月定例会は一般質問から追及が続く。自民党は知事による全国キャラバン事業にも矛先を向け、「利害関係者が会食に出席しており、癒着だ」と批判を強める。県は私的な会食で県職員倫理規定違反には当たらないと説明するが、識者からは「会食の場に知事に近しい人がいた以上、疑惑を持たれるのは当然だ。公正公平な選定だったということを説明しなければならない」と説明責任を問う声も上がる。

■全国キャラバンも

 同会議設置支援業務は会食前の5月17日に受託が内定した。受託業者や知事、県職員らが参加した会食は同23日に開かれ、契約は翌24日に行われた。玉城知事は「私的な会合だった」とし、業務に関する話はなかったことを説明した。自民側は会食への玉城知事の選挙運動支援者らの出席を問題視し「選挙功労で事業を回したと疑念を持つ県民もいる」(山川典二氏)と批判を強めている。

 疑惑の追及は知事による全国キャラバン事業にも波及。自民は、受託したシンクタンクが辺野古基金を受け取っていることや大阪府でのキャラバン実施時に府知事らが面談を断ったことを理由に、同法人を「政治的団体」(照屋守之氏)と主張し、県の事業としての公金支出を疑問視する。

 県によると、万国津梁会議支援業務は4月12日に企画提案を公募した。4月17日の説明会には6事業者が参加したが、5月10日の締め切りで応募したのは、山形県の一般社団法人や県内企業など4者でつくる共同企業体のみ。その後、この共同企業体への受託が内定した。

 全国キャラバン事業も企画提案型で4月19~5月2日の間、公募された。応募はシンクタンク1社のみで1、2次審査を経て受託が決定した。1社のみでも事業遂行できる能力を審査する基準があり、それを満たしたことから委託が決まったという。

■政治的団体か

 会食への出席が問題となっている県職員は現在、全国キャラバンを担当しているが、会食当時は担当していなかった。会食にキャラバン受託業者がいると知らず、後に知ったと話しているという。

 「政治的団体」との指摘について、県関係者は「辺野古基金を受け取った後、NPOとして認証されている。もし政治活動と見なされるなら、認証されないし後からでも取り消されるのではないか」と反論する。

 江上能義琉球大学名誉教授(政治学)は「今回の会食に参加した人は知事に近しい人たちだ。説明会に参加した6社のうち5社が応募しなかったことなどに疑いが生じる。公金である以上、疑いを持たれてはいけない。選定方法が公正公平で透明性を持つことを県民が納得する形で説明しなければならない」と指摘した。
 (当間詩朗、明真南斗)