牛汁に牛肉… 牛肉料理いっぱいの行事とは


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牛御願で、上座親雲上に牛肉を供え手を合わせる幸地隆作区長=7日、名護市安和のフクギヌシチャ

 【名護】沖縄県名護市安和の伝統行事で、牛肉を拝所などでささげる「牛御願(ウシウガン)」が7日、執り行われた。同行事は満8年ごと(9年マーイ)に実施される。幸地隆作区長と住民が半日をかけて区内の御獄など11カ所を回り、牛肉のごちそうを供え、安和の繁栄や住民の健康を先祖に祈願した。公民館では牛汁などの牛肉料理600食分が振る舞われ、一部は安和小学校の給食にも出された。

 1987年発刊の仲村栄正著「安和の語りぐさ」によると、牛御願はいつから始まったか定かではないが、1899年に実施されたという証言もある。当時は、現在よりも貴重でほとんど口にできなかった牛肉を食べられるということで、安和の一大行事だったと紹介している。

 ことしは午前9時ごろ、幸地区長が県指定有形文化財くばのうたき、水源地の前川(メーガー)、安和神社などを回って手を合わせ、先祖らに牛肉のごちそうがあることを伝えた。

 牛汁入りのおわん、串肉、肉が盛られた皿のほか、舌やひづめ、尾の部分の生肉が用意された。その後、安和の創始者とされる上座親雲上(うぃざぺーちん)とその妻が眠るとされるフクギヌシチャなどでささげた。安和小の5年生12人も見学した。

 幸地区長は「先祖も味わいに訪れていると思う。青年会も参加し、行事の流れを伝えた」と語った。牛御願を手伝った比嘉正輝さん(33)は「覚えることはたくさんあるが、写真を撮影するなどして備え、地域行事を引き継ぎたい」と話した。