【記者解説】米優先姿勢変わらず 沖縄大使発言、問われる整合性 米兵氏名提供拒否


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名護市安部のリーフに墜落した米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイ=2016年12月14日午前1時35分ごろ(友寄開撮影)

 米軍の垂直離着陸輸送機MV22オスプレイの墜落事故で米側が米国内のプライバシー保護法を理由に挙げて米兵の氏名提供を拒んだことは、日米地位協定を中心とする制度上の問題に加え、運用面でも米国の都合を優先させていることを改めて露呈した。米軍の行動は地位協定で日本の国内法適用を免除される一方、米軍は米国内の法律を盾に日本側の捜査に協力しない不平等な状況となっている。

 公務中の事故について米側が1次裁判権を有することなどを定めている地位協定が米軍による事件・事故を捜査する上で高い壁となってきた。さらに日米両政府の運用姿勢がその不平等性を強化している側面も今回改めて明らかになった。

 米軍は沖縄国際大にヘリが墜落した際も同様の理由で氏名を明かさなかった。地位協定の改定のみならず、米側に主導権を握られる状態に慣れ、追従姿勢が染み付いている日本政府の意識を変えることも必要になりそうだ。

 また「地位協定が捜査の障害になったとは認識していない」と主張する川村裕沖縄担当大使の発言は県民と日米両政府の意識の隔たりを浮き立たせた。

 日米両政府は沖縄国際大米軍ヘリ墜落事故を受けて基地外での事故対応に関するガイドライン(指針)を定めた。東村高江でのヘリ不時着・炎上事故でも再び現場への立ち入りが拒まれたことから今年7月、改定して日本側の迅速な立ち入りを明記することを決めた。従来の捜査態勢に欠陥があると認識したために改定したはずだ。川村大使の発言はその認識との整合性も問われそうだ。

(明真南斗)