台湾出荷量1割減、オリオンの販売拡大戦略とは… 次の照準はあのコンビニ 〈経済アングル2019〉


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台湾の居酒屋でオリオンビールで乾杯する来客=20日、台湾の台北市

 オリオンビール(浦添市、早瀬京鋳社長)は海外展開で最大の輸出先となる台湾について、さらなる拡大に向けた販売戦略を進めている。2018年度の出荷量は前年度比約1割減となるなど近年は若干の鈍化も見られ、同社台湾事務所は「他社との競合などで横ばいからやや減少の傾向にあるものの、台湾での認知度は着実に向上している」と現状を分析。台湾展開を躍進させたファミリーマートでの商品取り扱いに続く、主要コンビニでの定番化が鍵を握る。

 台北市で人気の串焼き店「品都(ピンドゥ)」は2年前の開店以来、オリオンビールを販売している。店長の瀬威勳さん(32)によると、アルコールを飲む人の6~7割がオリオンビールを注文するといい、「開店当初と比べ、オリオンを頼む人は約2倍になっている。認知度は高いと思う」と述べた。

■出荷量の増減

 台湾でオリオンビールを取り扱う店舗数は飲食店が約500店舗(台北400店舗、台中50店舗、台南・高雄50店舗)、量販店はコンビニエンスストアやスーパーなど約6千店舗(期間限定採用含む)と広がりを見せている。

 出荷量で見ると、現地ファミリーマートで定番として商品が置かれるようになった15年度に、過去最高の1648キロリットルを記録した。台湾で約3400店を展開するファミマに常設された効果は大きく、前年度から1・7倍に急増した。

 ただ、その後の出荷量は伸び悩みがある。16年度は1344キロリットルと反動減が見られ、17年度は1347キロリットルとわずかに持ち直したが、18年度は1203キロリットルと再び減少に転じた。

 ファミマを上回る約5300店を展開するのがセブン―イレブンだが、オリオンの取り扱いは年に1、2回の期間限定販売にとどまっている。オリオンビール台湾事務所の福永貫之所長は「台湾に5千店舗以上あるセブンでの定番化は出荷量増加の鍵となる。ハードルは高いが、営業努力を重ねたい」と語った。

■高まる認知度

 今年6月には、オリオンビールの台湾総代理店であるパレット社が、高雄市の酒類卸小売業者との取引を開始した。パレット社の2次代理店は台湾全体で11社となり、販売網は着実に拡大する。

 パレット社は今後、台北以外の地域で販売拡大を目指し、営業を強化していく方針だ。

 台湾でのオリオンビール販売拡大を目的に14年から台北市内で開いてきた「オリオンビアフェストin台湾」も、認知度の向上に寄与している。6回目の今年は10月19、20日に開かれ、ビールの販売量は前年比36%増の3200リットル、来場者数も同36%増の約1万6千人を記録した。

 福永所長は「ビアフェストの来場者数、販売量は年々増加している。今年はより広い会場にしたことで、過去最高の来場者数となった。台湾の人たちも多く参加し、着実な広がりがある」と意義を語る。

 1300キロリットルの出荷目標を立てる19年度は、4~9月の上半期は前年同期を上回っており、下半期も出荷量が順調に伸びれば目標を上回る可能性がある。
 (外間愛也)