百按司墓から持ち出された人骨 県教委と台湾大が再埋葬しないことで合意 原告「モノとして考えているのでは」


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県教育委員会が開示した資料について記者会見する玉城毅さん(中央)ら=25日、県庁

 昭和初期に今帰仁村の百按司墓から人類学者が持ち出した遺骨が、保管していた台湾大学から3月に返還された件で、県教育委員会と台湾大学が再埋葬をしないことで合意していたことが分かった。

 両者の2018年11月14日付の「協議書」で遺骨を「永続的に保存」し、研究にも使うことができると定めている。琉球遺骨返還請求訴訟原告団(団長・松島泰勝龍谷大教授)が県教委に情報開示を請求し、25日までに記者会見で公表した。

 県教委は協議書のほかに遺骨を保管する法的根拠として、死体解剖保存法に基づく「死体保存許可証」も開示した。「死体」は63体分で、住所は「不明」とされている。

 許可証は県が6月4日付で平敷昭人教育長宛てに出した。

 今帰仁村教委から台湾大学宛てに、17年10月26日付で「再埋葬は行わない」「施設が整うまで県立埋蔵文化財センターで保管する」などを明記した依頼文も開示した。

 原告団は遺骨を保管する京都大学に返還を求めて訴訟を提起しているが、台湾大から返還された遺骨に関しても、持ち出された場所に戻すよう求めている。

 原告の玉城毅さん(69)は「県教委は遺骨を『学術資料』と言ったり『死体』と言ったりして、モノとして考えている。遺骨を巡る権利は祭祀(さいし)承継者である私たちにあるはずだ」と述べた。