首里城正殿と北殿が全焼 他建物への延焼続く けが人の情報なし


この記事を書いた人 問山栄恵
炎上する首里城の正殿=31日午前、那覇市

 31日未明、沖縄県那覇市の首里城正殿で火災が発生した。同午前2時41分、首里城の警備員から那覇市消防に通報があった。同午前7時現在、鎮火していない。正殿と北殿がほぼ全焼し、南殿など城内のほかの建物に燃え広がっている。那覇消防などから消防車両が約40台が出て、消火活動をしている。これまでのところ、けが人の情報は入っていない。消防が原因を調べている。

 那覇市は防災無線や広報車両などを使い、首里城で火災が発生していることや、火の粉が遠くまで飛ぶ恐れがあることから窓を閉めることなど警戒を呼び掛けている。また、首里城周辺は規制線が張られ交通規制も行われており、県警が周辺一帯の住民に対して避難するよう呼び掛けている。那覇市は城南小学校と首里公民館、石嶺公民館に避難所を設置。石嶺公民館に3人が避難している。那覇市は31日午前7時半めどに災害警戒本部の会議を開く。

 首里城周辺には午前4時半現在、爆発音のような音が響き、火災元とみられる正殿が激しく燃え、煙が上がっている。1キロ以上離れた那覇市繁多川にも火の粉が飛んできており、広範囲に影響が広がっている。

 首里城近くに住む宮城武雅さん(44)は、サイレンの音と真っ赤に染まった空を見て火災に気付いたという。宮城さんは「夜は正殿まで簡単に入れないはずだ。なぜだ。ただただ驚いている」と信じられない様子だった。

 首里城は1429年から1879年までの約450年間、琉球王国の中心的な城で、政治と文化の中心だった。首里城正殿は1925年に「沖縄神社拝殿」として国宝に指定されたが、1945年の沖縄戦で焼失。戦後、跡地は琉球大学のキャンパスになったが、大学移転後に復元事業が行われ、1992年に本土復帰20周年を記念して国営公園として復元された。

 2000年12月には首里城跡が「琉球王国のグスク及び関連遺産群」として、日本で11番目の世界遺産に登録された。同年には「九州・沖縄サミット」の社交夕食会が開かれた。今や沖縄を代表する観光地として国内外から多くの観光客が訪れている。

【琉球新報電子版】

激しく燃える首里城正殿=31日午前3時30分ごろ、那覇市
激しい火災でけむりが立ち上げる首里城

首里城正殿がほぼ全焼し、他の建物まで燃え広がり消火の指示を出す消防隊員=31日午前4時半ごろ、那覇市
消火活動のために消防車両が集まった首里城の守礼門前=31日午前4時半ごろ、那覇市