エコの島へ提言 日本島嶼学会 宮古島の展望議論


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今中政輝氏

 【宮古島】「宮古島から展望する島嶼の未来」をテーマに、日本島嶼学会宮古島大会が10月25~27日の3日間、宮古島市平良の未来創造センターで開催された。このうち26日に開かれた特別セッションでは「宮古島の今と未来を考える」と題し、エネルギーや地下水、低炭素化など、さまざまな分野の専門家が宮古島についての研究を発表。現状や課題、今後の展望について議論した。

 冒頭では市エコアイランド推進課の三上暁さんが「エコアイランド宮古島」の取り組みを報告し、地下水や観光資源の保全、エネルギーの地産地消などについての課題を提示した。名古屋大学の今中政輝氏は島内の電力システムやエネルギー活用について発表。電力使用量を制御して需給のバランスを維持する「デマンドレスポンス」を紹介し、生活の中に取り入れることで「電化による燃料削減とともに、低炭素化を図ることができる」などと述べた。

 続いて東京大学の八木田克英氏は、再生可能エネルギー導入を見据えた宮古島の住民の消費行動について報告した。宮古島を含む沖縄地方では、各家庭でのエネルギー消費が冷房を使用する夏にピークを迎えること、台風などによる停電を懸念してオール電化への不安があることなどを指摘。今後の課題として「省エネを優先し、習慣の改善が必要だ。さらに台風対策が先行しており、断熱の発想が欠けているため、各家庭の断熱性向上も検討する必要がある」などと語った。

 このほか、地下水保全、宮古島の交通動向、大神島の観光地化などについての発表も行われた。