色鮮やかな琉球ガラス追求50年 現代の名工に上原徳三さん


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真剣な表情で作業に臨むガラス吹工の上原徳三さん=8日、糸満市の琉球ガラス村

 厚生労働省が8日に発表した「現代の名工」に、琉球ガラス村技術指導責任者でガラス吹工の上原徳三さん(66)=那覇市=が選ばれた。琉球ガラス作品を多彩な技法で制作する技能が高く、次世代への技術継承に貢献したことなどが評価された。15歳でガラスの仕事を始め、50年近くが過ぎた。「ガラス作りは私の人生そのもの。多くの人に支えられてここまで来られた」と目を細めた。

 中学卒業後に奥原硝子製造所に入社し、材料となる空き瓶を拾い集める雑務などが最初の仕事だった。当初はガラス職人が作業をする工場に入れてもらえなかった。職人を補助する仕事など、下積み生活は10年以上も続いた。「きついと思うこともたくさんあったけれど、苦労した経験が今に生きている」と目を細める。

 琉球ガラス村に入社後、自身の作品を生み出すようになった。赤や青、水色など五つの色を組み合わせて、鮮やかな色彩を表現することにこだわる。ガラスを熱する時間によって、浮かび上がる色が大きく異なるなど、制作過程には難しさが伴う。「思うような作品に仕上がらないこともある。今でも勉強を続けている」と技術向上に余念がない。

 ベトナムで工場長を務めた経験もあり、現地の職人を育てた。現在は若手職人の指導も行い、技術を継承している。「指導をする中で自分自身が学べることも多い。これからもいい作品を生み出したい」と意欲を示した。