殺処分ゼロ目指し譲渡施設整備へ 22年度までに愛護センター 保護犬・猫の長期収容可能に


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 県動物愛護管理センター(南城市)は2022年度までに、収容した迷い犬や保護猫の殺処分ゼロを目指し、新たな飼い主への譲渡を促進するため、隣接する旧県衛生環境研究所ハブ研究室跡地に譲渡拠点を整備する。今年7月から施設の一部が利用可能になり、動物保護団体などのボランティアを対象にした譲渡に使っている。22年度には、一般県民も広く利用できる運営にする。

譲渡拠点の設置について、保護した迷い犬を前に説明する県動物愛護管理センターの宮平誠人副所長=8日午後、南城市大里の県衛生環境研究所ハブ研究室跡地

 愛護管理センターは現在も収容した犬や猫を一般に譲渡しているが、収容するスペースが限られていた。宮平誠人副所長は「健康状態が良く、攻撃性がない譲渡適性がある犬でも、一定期間が過ぎると処分せざるを得ない。譲渡の拠点を新設すれば、より長期の収容ができる」と説明した。

 仮供用している譲渡拠点の犬や猫は感染症ワクチンを接種し、トイレトレーニングなどのしつけもした上で、ボランティアを通じて譲渡会などで一般県民に渡っている。県は22年度の本供用後には犬40匹、猫40匹の合計80匹を収容し、利用できる人もボランティアから一般県民まで拡大したい考え。

 利用するハブ研究室跡地は21年度に改修工事を実施する予定。20年度に基本計画をまとめる。研究室跡は建物が延べ床面積1017平方メートル。旧野外実験場(延べ床面積1878平方メートル)もドッグランなどとして活用する計画だ。

 愛護管理センターの犬殺処分数は2011年度は2029匹、殺処分率は72・2%だったが、17年度には153匹、15・2%まで改善している。収容数自体の減少と新たな飼い主への譲渡の増加が主な要因。

 猫は11年度に収容数が3818匹で、殺処分率96・6%だった。17年度は収容数1254匹に減少したが、殺処分率は84・2%と依然高い水準にある。

 県はセンターの殺処分を「ゼロ」にすることを目指し、将来的には「廃止」することを掲げている。

(島袋良太)