「過労死ライン」超3078人 沖縄の教員の残業 100時間超は1314人 主な理由は部活動


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 県教育庁の学校人事課が県立学校教職員(中学、高校、特別支援学校)を対象に行った2018年度長時間勤務実態調査で、残業時間が月100時間を超えた人数が延べ1314人に上ったことが分かった。厚生労働省が過労死の目安とする「過労死ライン」の月80時間~100時間の残業者数は延べ1764人で、両者を合わせると延べ3078人となった。高教組の福元勇司執行委員長は「過酷な長時間労働は教員の命や健康を脅かすだけでなく、教員が病休すれば子どもの教育保障もできなくなる。行政は実態を把握、分析し改善すべきだ」と指摘する。

 調査の対象は、県立全校84校に勤める教職員約5700人で、教職員の自己申告によるデータをまとめた。過労死ラインを超えた人数のほかにも、月60~80時間の残業を申告した人数は延べ4548人だった。

 超勤の主な理由(複数回答)としては、月80時間・100時間以上共に最も多かったのが「部活動」、その次に「授業準備」「事務・報告書作成」が続いた。また月80時間以上の超勤者が対象となる任意の産業医面談を受けたと申告した人数は延べ45人だった。

 しかし調査でまとめられた時間には「校務外」と見なされる早朝や放課後、土日講座での勤務時間は含まれていない。福元執行委員長は「調査対象外の時間も含めると、労働時間はもっと長くなる」と調査の甘さを指摘した。

 県教育庁は「働き方改革推進プラン」を進めている。調査結果に対し、同課の担当者は「リフレッシュウイークや夏休み中の閉庁日設定、定時以降の留守番電話導入などの対策に加え、学校にも業務改善の指示をしている」とした上で、「実態把握に努め、業務改善につなげていきたい」と話した。

 同調査は17年度にも行われ、平敷昭人教育長が19年度県議会2月定例会で結果について「月80時間を超える人は月平均154人、100時間を超える人は月平均138人だった」と報告している。18年度調査では月80時間以上が月平均147人、月100時間以上が月平均110人で、17年度の月平均人数と比較すると、80時間以上で7人、100時間以上で28人の減少が見られる。