「年に2、3回は血圧が急激に上がり病院に」 深刻化する教員の過重労働


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 県教育庁がまとめた2018年度の県立学校教職員の長時間勤務実態調査で、延べ3千人超が過労死ラインとされる月80時間以上の残業をしていることが明らかになった。ただ、早朝や放課後、土日に行われる講座は残業の対象外となっており「実態はもっと深刻」(関係者)。県立高校の教員からは「現場は限界。教員が倒れたら生徒の学習にも悪影響を及ぼす」と早急な改善を求める声が上がった。

 「80時間は余裕で超える。100時間にいく時も…」。ある県立高校の40代男性教諭は月の残業時間を打ち明ける。早朝と放課後だけでなく、昼休みも食事をしながら小論文や面接の指導。大学入試が迫り、12月からは新たに特別講座も担当する。「年に2、3回は血圧が急激に上がり病院に行っている。正直、体はきつい」

 実業系高校の50代男性教諭の場合も深刻だ。今は毎日午前6時すぎに出勤し、資格試験の講習。放課後も毎日講習だ。資格試験が迫れば土日も行う。しかも教員に対する手当は支払われない。男性は「県は調査するだけでなく、教員を増やすなど具体的な対応をすべきだ」と強調する。

 2人とも、過酷な勤務でも続けられるのは「生徒のために」という使命感があるからだという。ただ、こうも語った。「このままだと教員のなり手不足にもつながる。そうなれば教育の質は維持できない」

 高教組の福元勇司執行委員長は「課外の講習は教員退職者にお願いするなどしなければ、何も改善しない」と語った。