【記者解説】観光客1千万人突破、今後の沖縄経済への効果と課題


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 航空路線の拡充やクルーズ船の寄港回数増加に後押しされ、沖縄を訪れる観光客は1千万人の大台を突破した。2020年3月に那覇空港第2滑走路が供用開始し、新たなクルーズターミナルの整備も進められることから、観光客は今後も順調に伸びると見られている。

 今回上方修正された幅は全体から見ればわずかだが、沖縄のリーディング産業に成長した沖縄観光の歩みを刻む上で、1千万人という数字は象徴的な意味を持つ。県は21年度に観光客数1200万人を目標としており、その達成に向けても一つの節目を迎えた。

 ただ、観光客の増加は好調な県経済をけん引する一方で、交通渋滞など住民生活にマイナスの影響も与えている。受け入れ人数の増加を目指すのと同時に県民の不満を解消し、持続可能な観光につなげるよう求める声も上がる。県内有識者は観光客の満足度だけではなく、住民満足度を調べることの重要性を指摘する。

 沖縄観光ではこれまで、人数の伸びが施策を評価する指標となってきた。次の段階として、滞在日数の長期化や観光消費額の増加など、県民生活に恩恵が感じられる観光の質の改善も求められる。

 日韓関係の悪化で韓国客は激減しており、首里城火災の影響が懸念されるなど、先行きを不安視する意見は根強い。好調な沖縄観光の背景にある課題を克服し、観光立県としての立ち位置を強固なものにできるか、関係機関や企業の取り組みにも注目が集まる。

(平安太一)