産業事故による死亡3倍増加か 沖縄の労働災害10月末で924人 復帰後最多を上回る可能性も…


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 28日午後、沖縄県国頭村安波の「沖縄やんばる海水揚水発電所」の解体工事現場で350キロのケーブルが落下し、作業員2人が死亡した。今回の事故を合わせると、2019年の産業事故による死亡災害は11人になる見通しで、18年の4人に比べ3倍近く増加することになりそうだ。沖縄労働局によると労働災害は10月末時点で既に924人(前年同期比68人増)で、このペースで推移すれば日本復帰以降過去最多だった73年の1277人を上回る可能性がある。

 労働災害が多発傾向にある年末年始に向けて、沖縄労働局(福味恵局長)は28日午前、建設業労働災害防止協会沖縄支部と港湾貨物輸送事業労働災害防止協会沖縄総支部に労働災害防止対策の徹底を求める緊急要請をしたばかりだった。

下地米蔵建設業労働災害防止協会沖縄県支部長(右)と島袋修港湾貨物運送事業労働災害防止協会沖縄総支部長(左)に緊急要請した福味恵沖縄労働局長=28日、那覇市おもろまちの沖縄労働局

 沖縄労働局の仁木真司労働基準部長は「亡くなった方の家族、関係者にお悔やみ申し上げたい」とした上で「労働災害防止を要請した矢先に死亡災害が発生したことは遺憾だ。今回の事故を踏まえて、労災防止をあらゆる機会を通じて促したい」と述べた。

 今年に入り、労働災害で亡くなった人は9人でうち、6人が建築や土木工事に従事する作業員だった。港湾荷役業では、休業4日以上の労働災害が5人で、前年同期を3人上回っている。

 県内の建設需要が旺盛なことや、年末年始に向けて工期内に工事を終わらせようとしたり、港湾で取り扱う貨物量が増えたりすることから、沖縄労働局は建設業と港湾荷役業の2業種に緊急要請した。

 福味局長は「年末にかけて業務が忙しくなり計画通りに進まないことも予想される。建設、港湾の業種では需要が増えている状況がある中、失われた人命は二度と戻らないことを念頭に安全対策の確認を徹底していきたい」と述べた。