「時間長い、直せ」 幹部からの救急活動時間書き換え指示、職員が証言 島尻消防


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時間経過の項目で「指令」と「出場」の時間が改ざんされた救急活動記録票。左が改ざん前の現場作成の記録票、右が改ざん後の記録票=2日、那覇市

 島尻消防組合消防本部で10月、交通事故の救急活動の記録を記した「救急活動記録票」の時間記録が書き換えられていた問題で、事故当日に勤務していた島尻消防の職員が3日、本紙の取材に応じ、幹部からの書き換え指示があったことを認めた。職員によると、幹部は現場に出動した職員に「出動までの時間が長いから直せ」などと記録票の書き換えを命じたという。島尻消防の説明を受けた管理者の瑞慶覧長敏南城市長は同日、「改ざんではない」と話していた。

 記録票の書き換えがあった交通事故は10月14日に八重瀬町で発生した。島尻消防本部や具志頭出張所などから計9人の職員が出動した。同日勤務していた職員によると、書き換えを指示したのは現場職員を統括する50代の課長。10月17日午後、事故当日に現場に出動した職員の一人に「出動までの時間が長いから直せ」と話し、既に作成していた記録票の時間の書き換えを指示した。この職員は指示に従い、事故現場に出動する「出場」時刻の記録を「20時28分」から「20時26分」に改めた。

 事故当日の14日、職員の一人が出動時間の記録のために救急車両の運転席と助手席の間にある「AVM装置」と呼ばれる装置のボタンを操作した。この操作時間が「20時28分」で、活動終了後に作成した記録票にもこの時間を記載した。

 しかし、17日になって50代課長の書き換え指示に従って、当日勤務していた職員が記録票を書き換えた上で、ボタン操作によって打刻された時間も端末上で修正したという。証言した職員は「壮絶な現場だったので、よく覚えている。書き換えの指示は日常的にやっていて、この日も『またか』という感じだった」と振り返った。

 瑞慶覧市長は記録票の時間が書き換わっていた点について「データ上の更新でどうしてもこうなってしまった。改ざんでもなんでもない」と説明した。