温室効果ガス6年ぶり増加 車、航空便増が影響 16年度沖縄県内


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 県内の温室効果ガスの排出量(推計)が、数値が分かっている直近の2016年度で6年ぶりに増加に転じた。排出量は1270・6万トンで前年度より1・8%増えた。自動車保有台数や空港発着回数の増加が主な要因だ。県環境部は県内の温室効果ガスの排出量を20年に基準年とする00年度以下に減らすことを目指している。ただ那覇空港は20年3月に第二滑走路が運用開始予定で、発着回数は長期的にも増える見通し。温室効果ガスの排出量は11年から減少傾向だったが増加に転じ、目標到達に陰りが見えている。

 県環境部の推計によると、県内の温室効果ガス排出量は、11年の東日本大震災を機に家電や乗り物で省エネ化が進んだことから減少が続いていた。15年度は00年度より1・0%多い1248・7万トンまで減っていた。だが増加に転じた16年度は00年度より2・8%多い排出量となった。

 16年度の県内の自動車保有台数(ガソリン、軽油、LPガス、ハイブリッド車)は111万3千台で、県が排出削減の基準年度とする00年度(82万4千台)より約35%増え、エコカーの普及が進む中でも排出量は下げ止まっている。

 さらに県内の航空機の国内線着陸回数は00年度に8万3400回だったのが、16年度には10万900万回と約21%増えた。格安航空会社(LCC)の就航などで国際線の発着回数も増えており、長期的にも着陸回数は伸びる可能性が高い。

 県環境再生課によると、温室効果ガスの大部分を占める二酸化炭素の排出量構成は、全国では産業部門が全体の32・7%、運輸部門が17・7%となっている(13年度)。これに比べて県内(16年度)は産業部門は12・6%にとどまり、運輸部門は32・2%と最も大きな割合を占める。

 自動車は排出量全体の約2割、航空機は約1割を占める。そうした中、自動車保有数や空港発着数の増加が16年度の排出量を押し上げた。県の安里修環境再生課長は「公共交通のさらなる利用促進や省エネ製品への切り替えなどが排出の削減につながる」と説明した。
 (島袋良太)