「一人一人がLGBTに理解を」 那覇高校生が制服選択制で番組制作 生徒の本音から見えてきたことは…


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制服選択制をテーマに番組を制作した那覇高校放送部の部員ら

 那覇高校放送部がこのほど、性別に関係なく制服を自由に選べる「制服選択制」をテーマに番組を制作し、高く評価されている。県大会で最優秀賞に輝き、12日に開幕する第3回全九州高等学校総合文化祭宮崎大会に出品する。生徒らへのインタビューを重ね、制服選択に対する本音と課題に迫った労作。部員らは「性に対する自分たちの固定観念に気付いた。作品がLGBT(性的少数者)の理解につながれば」と期待している。

 那覇高はLGBTへの配慮や利便性を理由として、今年1月に制服選択制を導入した。放送部はそれに合わせて取材を開始。2年の屋比久翔也さん(17)は「今までと違う制服を着てくる生徒がいる一方で、ルールができたのに着られない人もいた。その原因を伝えたかった」と企画の趣旨を説明する。

 部員8人で協力し、生徒らへのインタビューを重ねた。ズボン着用を始めた女子生徒は「女の子らしい格好に抵抗があった。(ズボン姿が)バイト先でも褒められてうれしかった」と喜びを語った。マイクを向けられた他の生徒は「自分を制服で表せられるのは良いこと」「慣れた」「素晴らしい」などと肯定的に答えた。

 ここで放送部は生徒の本音が聞きたいと思い、男子部員がスカートを着てインタビューを敢行。すると違和感を訴える生徒が相次いだ。部員は続けて「違和感を無くすにはどうすればいい?」と問い掛け「年1回制服を交換する」「小さい頃からの教育で無くす」などの回答を得た。識者の見解も交え、8分の作品にまとめた。タイトルは「制服選択制~心の中の違和感」とした。

 11月5日に開かれた第41回九州高校放送コンテスト県大会に出品し、最優秀賞を獲得した。九州大会を前に、部長で2年の上地伶奈さん(16)は「いつか社会の違和感が無くなるように、一人一人がもっと性に対して理解しないといけない。多くの人に作品を見てほしい」と話した。
 (真崎裕史)