「世界の恥」と市民に危機感 2年半かけて議論、策定した「自治体の憲法」の廃止


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石垣市自治基本条例の意義について共有する参加者ら=15日夜、市健康福祉センター

 【石垣】石垣市自治基本条例の廃止条例案が16日に市議会本会議で採決されるのを前に、市民有志が自治基本条例の学習会を15日夜、市健康福祉センターで開催した。条例の制定に関わるなどした3氏が登壇し、それぞれの立場から自治基本条例の意義を強調した。100人超の市民が参加し、廃止撤回に向けて行動することを確認した。

 条例制定に関わった元副市長の黒島健氏は、市職員によるワーキングチームや市民検討会議、審議会で48回の議論を約2年半かけて実施し、条例案を策定したと報告。有権者の4分の1以上の署名で住民投票実施を義務付ける住民投票の規定に関して、「経緯を説明した議会の委員会では、議員はみんな、拍手万歳して歓迎した」と振り返った。

 条例が住民登録がない人も「市民」とする定義に与党から疑問が出ていることには、「市に通って働く人たちなどを含めて、手を取り合って一緒に(まちづくりを)頑張ろうというのがその意義だ」と述べた。

 現市政が自治基本条例の活用を図っていないとの見解を示した上で、「市民のためのまちづくりをするというのがこの条例だ。今一度『協働』とは何かということを共有しないといけない」と強調した。

 琉球大元教授の川平成雄氏は条例について解説した上で、全国で自治基本条例の廃止事例はないと指摘。「廃止されれば全国、世界中に恥が届くことになる。市の汚点だ。傍聴席を埋めてプレッシャーを与えよう」と呼び掛けた。

 市住民投票を求める会の金城龍太郎代表は、条例の規定に基づいて市平得大俣への陸上自衛隊配備計画の賛否を問う住民投票の実施を求めていると説明。「住民投票を求め続けていくことが、条例に対するリスペクトになる」と話した。

 市議会野党議員も出席し、与党の廃止案提案の問題点を指摘した。

 参加者からは条例43条で審議会設置を義務付ける見直し規定に絡めて、与党が廃止提案を強行したことへの批判があった。野党が条例に関する調査特別委員会に加わらなかったことを批判した上で、「阻止しないとあさって(17日)からみじめな石垣市になる」と危機感を強める意見もあった。