自民は不備指摘、野党は「根拠なし」 自治基本条例廃止案巡り解釈平行線


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 石垣市自治基本条例を廃止する条例案の審議では、条例の見直し規定にある「市」に「市議会」が含まれるのかなど条例の解釈を巡って、主張の応酬が繰り広げられた。討論では、賛成の立場で4人、反対の立場で7人が意見を述べた。野党が廃止条例は「根拠がない」と指摘して反対したのに対し、賛成する与党は条例の不備などを指摘して廃止を訴えた。

 廃止条例に反対の立場で討論に立った長浜信夫氏は「不備があるならば、見直すべきであり、(廃止は)乱暴すぎる。この条例は市民の民度を高め、意識を啓蒙(けいもう)するもの、地方自治の熟度を示すものだ。廃止はあまりにも唐突だ」と指摘した。

 一方、賛成討論に立った友寄永三氏は多くの市町村で自治基本条例が制定されていないことに触れ「どこの市でも市民が主体の市政運営をしている。これがなくなると市民主権ではなくなるという触れ込みがあるが、全く関係ない」などと考えを述べた。

 賛成討論を受け、野党の内原英聡氏は「(自治基本条例を)もう一度読み直さないか。賛成されている方々の討論は、見直しで議論する話ではないか。決定的な廃止の根拠にはなり得ない。改めて市民で読み直す価値があるものだ」と条例の必要性を訴えた。

 賛成討論で、与党の砥板芳行氏は性的マイノリティーの権利や防災に関する文言などがないことなどの不備があると指摘し「見直すマイナーチェンジではなく、これからの石垣市のまちづくりの指針として、いったん廃止してフルモデルチェンジをするべきではないか」との考えを示した。

<用語>自治基本条例
 自治体運営の基本原則などを定めた理念条例で「自治体の憲法」とも言われる。住民自治の精神に基づき、市、市議会、市民の役割などを規定している。石垣市議会は2010年、県内の自治体で初めて施行した。住民投票に関する規定も定められている。