生徒と向き合う時間なく 人手不足で苦悩する養護教員 相談業務の重要性ひしひしと 支援やセクハラ発覚につながった例も


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 生徒に向き合う時間がない―。県立高校に勤める養護教諭からは苦しい現状を訴える声が相次いだ。

 那覇市内の高校に勤める養護教諭は「人手が足りないと感じる。配置数を増やせたら…」と話す。「健康診断の準備・集計や個票作成などの通常業務に加えて、報告書の作成、生徒が加入する保険などの事務処理も非常に多く、負担だ。生徒に思うように時間をかけてあげられない」とつらい心情を語った。

 保健室には、けがなど身体的な看護を要する生徒の他にも、相談のために訪れる生徒も多い。なかなかSOSを発することができずにいた生徒が体調不良などを理由に保健室を訪れ、支援につながることも少なくない。

 ことし発生した県立学校教職員の懲戒処分でも女子生徒が養護教諭に相談したことで、セクハラ被害が明らかになった。

 「多様な業務に追われ、保健室の先生は一般的なイメージよりも忙しい」と語った教諭。「相談に訪れた生徒に対応している時にも別の生徒がけがで来室したりすると、その生徒に対応するために話を中断しなければならないこともよくある」と話した。

 「じっくり話を聞いてあげたくても忙しさで中断してばかりだと生徒にも申し訳なく感じる」と心苦しさを語り、「もっと一人一人の生徒と向き合う時間が欲しい」と心境を吐露した。