海上保安官、沖縄管轄が全国最多の1888人に 中国船領海侵入に対応 沖縄単独で最多は異例


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 海上保安庁の全国11管区の中で、沖縄県を管轄する第11管区海上保安本部(那覇市)の人員が全国最多となっていることが30日までに、11管への取材で分かった。

 11管の2019年度の定員は1888人。関東の複数の都県を管轄し、全国で2番目に人員が多い第3管区海上保安本部(東京都)の約1500人を上回る。12年の尖閣諸島国有化後に増加した中国船の領海侵入に対応するため、14年から石垣海上保安部などに「尖閣専従体制」が構築されたことが要因だ。

 15年度から3管を抜き、全国最多となっている。海保の管区は北海道を除き、基本的に複数の都道府県で構成する。沖縄単独で人員数が最多となるのは異例。

 尖閣諸島国有化以来、中国公船の領海侵入は常態化し緊張が続く。国有化以前の11管の人員定数は900人だったが、ここ数年で倍増した。一方、船艇数は3管が全国で最も多い。

 尖閣専従体制は14~16年にかけて構築された。石垣海上保安部に大型巡視船10隻と那覇海上保安部にヘリ搭載型巡視船2隻が配備された。巡視船は基本的に1クルーが専属で運用するが、石垣海保には12クルーが配置され、ローテーションで運用する体制が構築されている。

 また、宮古島海上保安署は16年に「海上保安部」に昇格。19年度までに外国漁船への対応を目的とした規制能力型巡視船9隻が配備された。

 同庁は、今後も尖閣諸島領海の警備体制強化を進める。ヘリ搭載型巡視船が20年度に1隻、21年度に1隻、23年度に2隻が就役する。大型巡視船も20年度に1隻、22年度に2隻、23年度に1隻が就役予定。11管の人員、船艇は今後も増加する見通しだ。

 11管広報は「ベテラン職員が定年を迎える中、組織が拡大しているため若手が占める割合が増している。人員確保と同時に育成が課題だ」と述べた。

(梅田正覚)