豚コレラ、人がウイルス媒介か 眞鍋昇・東大名誉教授 春節前に防疫徹底を


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 沖縄での豚コレラ(CSF)の発生は、ウイルスがどこから侵入したか解明することが重要だ。本州では野生イノシシを介して広がっているが、沖縄ではその可能性は低く、靴底や衣服にウイルスが付いた状態で人間が運んだことが考えられる。遺伝子配列の解析結果が感染経路を特定する手掛かりの一つとなる。

 朝鮮半島や中国大陸から侵入したものであれば、次に懸念されるのはアフリカ豚コレラ(ASF)の発生だ。

 CSFとは異なる伝染病で、ワクチンもない。伝染力が高く致死率も非常に高い。24日から春節(旧正月)で多くの観光客が中国大陸から訪れる予定だが、国や県を挙げて防疫を徹底する必要がある。

 殺処分作業に従事した人がウイルスを外に運び出すことも考えられる。人を介してウイルスが広がる場合、靴底にウイルスが付着することが多い。

 面倒だと思うかもしれないが、長靴の履き替えが感染拡大を食い止める一番確実な方法だ。

 今後も沖縄で感染が拡大すれば、豚価や流通にも影響が出るだろう。中国でアフリカ豚コレラがまん延し豚肉が不足したことで、国際相場が上がった。長期化すれば一般の人の生活にも少しずつ影響が出始めるだろう。

 今回アグーのような貴重な豚にまで感染したことは非常に残念なことだ。アグーは沖縄の宝だ。全県を挙げて守る必要がある。

(家畜繁殖学、農水省家畜衛生部会臨時委員)