豚熱、ワクチン接種へ 沖縄県「手順踏んで早急に」  22日に関係者会議


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新たに発生したうるま市の農場での殺処分作業=16日、うるま市(沖縄県提供)

 沖縄県内で豚熱(CSF、豚コレラ)の感染確認が続いている問題で、県は17日、県議会の会派代表者を集めて防疫対応などを説明した。出席した議員によると県側は「ワクチンを打たない選択肢はない」と述べ、ワクチン接種実施へ準備を急ぐ方針を伝えた。8日に豚熱の発生を確認して以降、豚の殺処分数は9千頭を超え、畜産団体やJAなどが早期のワクチン接種を求めている。県は接種に向けた課題の検証など作業を進める一方で、有識者も交えた「県CSF防疫対策関係者会議」の初会合は22日になる見込みとした。

 県議会への説明終了後、富川盛武副知事は報道陣の取材に「ワクチンも早急に打つという方向で調整しているということだ。専門家のアドバイスを受けながら、手順を踏んでできるだけ早くということでやっている」と話した。

 県内では1986年以来となる豚熱感染を8日にうるま市で確認し、10日には沖縄市でも陽性反応が出るなど影響が広がっている。15日にうるま市の別の養豚場で4例目の感染が確認された。17日までに両市の養豚場計7カ所で9043頭(速報値)の殺処分が完了し、県内の飼育頭数20万6828頭(2018年12月末現在)の4・4%を占めるまでに増加した。

 県が22日にも開催する関係者会議にはJA沖縄中央会や県養豚振興協議会、県獣医師会のほか、有識者を交えて豚熱拡大防止のための防疫対策を議論する。ワクチン接種のメリットとデメリットも説明しながら、会議の意見を踏まえて玉城デニー知事がワクチン実施について最終決定する。

 県の担当者は「専門家の(ワクチンを)打つという声があれば、そういう判断になる。有効な判断の一つとしてワクチンも頭に入っており、消極的ということではない」と説明した。

 県によると、豚が死んでいるとの通報を受けて北部と中部、南部の養豚場3カ所で感染状況を確認し、17日までに2カ所の陰性を確認した。1カ所は検査中という。豚熱が発生した養豚場と関わりがあった5カ所も検査。2カ所が陰性で3カ所は調査を続けている。