事業所でパワハラ 「県は再審査を」 障がい者への差別解消訴え


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県議会文教厚生委員会に調整委員会の再審査を求める小渡里子さん(中央)と支援者ら=17日、県議会

 就労継続支援A型事業所で受けたパワーハラスメントで自殺に追い込まれ後遺症を負ったとして、事業所の謝罪を求めている沖縄県那覇市の小渡里子さん(45)や支援者らが17日、県議会文教厚生委員会の参考人聴取で経緯について説明した。小渡さんらは障がい者への差別解消を図る県の調整委員会が誠実に審議していないと訴え、再審査を働き掛けるよう求めた。

 県議からは再審査の必要性に言及する意見があった。文教厚生委は今後、調整委の事務局に事実関係を確認した上で対応を検討する方針。

 支援者らによると、視覚障がいのある小渡さんは2014年に事業所に入所し、16年ごろから退所を迫る言動を受け、うつ病の急性悪化を引き起こし、大量服薬で意識障害に見舞われた。その後、両足に障がいが残り車いす生活となった。

 謝罪を求め、一時は和解の話し合いが進んだものの、仲介した沖縄労働局の不手際が発覚した上に、合意書まで作成した和解が一方的にほごにされた。さらに共生社会を目指す県条例の規則に基づき、解決を求めた県の調整委も19年9月、主治医や相談員など関係者の意見を一切聴取しないまま「判断できない」として、あっせん要求を退けたという。

 小渡さんは「悔しい思いでいっぱいの中、条例を知り、ここなら酌み取ってくれると思ったが、一方的な通知であっせんしないとの回答に、途方に暮れた」と憤りをあらわにし、支援者らは「調整委は権限を放棄している。不誠実な状況を正してほしい」と求めた。