首里城火災から3カ月、再建へ一歩ずつ 観光客の姿、徐々に活気取り戻す首里の街


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
火災から3カ月、この日も多くの外国人観光客らが訪れた首里城=30日、那覇市首里(喜瀬守昭撮影)

 正殿など6棟を全焼、2棟を焼損した首里城火災から31日で3カ月となった。最も寒い季節を迎えた沖縄だが、首里城公園には30日も多くの人々が来場。観光客の足は戻りつつある。寄付金は総額約27億円。再建に向けた支援の輪は県民にとどまらず、多くの県系人や沖縄に心を寄せる人々にも広がる。人々の熱い思いが首里城に注がれている。

 正殿などを焼失した首里城火災から31日で3カ月。お膝元の那覇市首里当蔵町周辺で30日、国内外からの観光客の姿が目立った。城郭内への立ち入り制限の影響を受けていた飲食店や商店でも、制限の一部解除で開園エリアが拡大するのに伴い「昨年末ごろから徐々に客足が戻りつつある」(地元商店主)という。活気が戻りつつある一方で、「火災で旅行客の流れが変わった」「先行きが不透明」などと不安の声も消えない。

 「イー(1)、アール(2)、サン(3)」

 30日午前、守礼門前では掛け声に合わせて記念撮影を楽しむ外国人旅行者の声が響いていた。

 同門近くで写真店を営む男性(71)は「多くが台湾からの旅行客。1月に入ってようやく目立つようになった」と話す。親子連れや若いカップル、台湾から来たとみられる観光客が開放されたエリアを散策していた。

 土産物店の従業員、當間美智子さん(44)は「正月三が日は昨年より人が多いぐらいだった。火災で注目された影響もあるかもしれない」。首里当蔵町の沖縄料理店「琉球茶房あしびうなぁ」の玉城正子さん(50)は「昨年末までは厳しい状況だったが、1月に入ってかなり持ち直してきた」と声を弾ませる。

 ただ、火災前の状況まで本格回復には至っていない。地元関係者によると、台湾からの個人旅行客が戻ってきた一方で、火災直後以降、中国からの団体客は激減。国内の旅行客数も伸び悩んでいるという。例年、レンタカーなどでいっぱいになる首里杜館地下の駐車場は空きが目立っていた。

 土産物店従業員の女性(52)は「火災の衝撃で今でこそ注目されているが、今年の夏まで関心が持つかが怖い」と気をもむ。付近の飲食店に勤める女性(35)は「復興までの道のりは長い」とため息をついた。