沖縄で5例目の豚熱を確認 1月の検査で陰性だった養豚場で 沖縄市で1800頭を殺処分へ


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県内5例目となる豚熱発生を受け、状況を説明する長嶺豊農林水産部長(左)と仲村敏農林水産部畜産課長=2日午後、県庁

 沖縄県内で豚やイノシシの感染症、豚熱(CSF)が発生している問題で、県は2日、沖縄市内の養豚場で県内5例目の感染を確認したと発表した。新たな感染場所は、1月10日に感染を確認した沖縄市内の養豚場から200メートルの位置にあり、殺処分の対象は1857頭(速報値)になる。さらなる感染拡大を防ぐため、県は今月中旬までにワクチン接種を開始する。感染を確認した養豚場周辺での検査も実施する。

 県内では1月8日に、うるま市で1986年以来の感染を確認し、これまでに養豚場7カ所で9043頭の殺処分と死骸の埋却が完了した。今回の養豚場を加えると、殺処分数は1万900頭で、県内の飼育頭数20万6828頭(2018年12月末現在)の5.3%を占める。

 県によると、今月1日に沖縄市内の養豚場から豚が死んでいるとの通報があった。発熱や食欲不振の症状がある豚もいたことから、県が精密検査を実施し、2日に豚熱の陽性を確認した。早ければ3日までに殺処分を終える予定で、死骸はうるま市内の県有地に埋却する。6日までに豚舎の消毒や汚染物品の埋却など防疫措置を完了させる。県は陸上自衛隊に災害派遣要請を行い、協力して作業を進める。

 豚熱の拡大を受け、県は発生場所から10キロ圏内の養豚場などで感染状況の検査を進め、全てで陰性反応が出ていた。今回、感染を確認した養豚場は1月11日の検査で陰性を確認した。今後は国の疫学調査チームが豚熱の感染時期や、ウイルスの侵入ルートなどを調査する。県は新たな感染場所から3キロ圏内の養豚場で検査を実施し、感染の有無を調査する。

 ワクチン接種開始に向けて、県は接種対象地域や期間などを盛り込んだプログラムの作成を進める。接種は早ければ2月中旬に始まり、北部や南部から行う。今回の豚熱発生がワクチン接種のスケジュールに影響を与えることはないという。

 県内5例目の豚熱発生を受け、県は2日に対策本部会議を開いた。玉城デニー知事は「国や関係機関と連携して防疫措置に万全を期する。CSFは豚とイノシシの病気で人に感染することはない。感染した豚の肉が市場に出回ることもなく、豚肉の流通が滞ったり、不足したりすることもない」と強調した。