地下水活用で連携 琉大と八重瀬町 循環の仕組み構築へ


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 琉球大学と八重瀬町が持続可能な地下水の活用に向け、共同プロジェクトを開始する。沖縄などの島しょ地域は雨水が地下に浸透しやすく、昔から地下水を活用してきた。一方、狭い土地に多くの人が住んでいると、汚染や枯渇などの問題も起きやすく、流出先のサンゴ礁にも影響が出る。プロジェクトでは地下水の循環に焦点を当て、行政、研究者、地域住民が連携して持続可能な活用法を考える。同様の課題を抱えた海外の島しょ地域へ向け、健全な水循環の仕組みを構築する“八重瀬モデル”の発信も目指す。

 13日は研究者や行政職員などの関係者が町役場に集まり、キックオフミーティングを開き、プロジェクトの目標を確認した。琉大と八重瀬町は近く、連携協定を結ぶ予定だ。

 琉大は2017~19年度にも地下水の環境を考えるプロジェクトを八重瀬町などと実施。八重瀬町はこれを受け、19年度からの第2次町総合計画に「豊かな水資源の保全と水循環の健全化」の項目を設けた。

 今後、行政、研究者、地域の3者が参加する流域水環境勉強会を設置。地下水がどこからどこへ流れているのかを可視化する班や、歴史的な経緯を調べる班、経済効果を数値化する班、協働の方法を考える班などに分かれて調査を進め、行動計画を策定する。研究者は科学的な根拠を提供し、合理的な決定を支援する。

 同プロジェクトは国立研究開発法人科学技術振興機構が19年度から開始した「SDGsの達成に向けた共創的研究開発プログラム」(略称SOLVE for SDGs)のソリューション創出フェーズに採択されている。(稲福政俊)