【単眼複眼】衆院2区・新垣氏擁立へ 「決着」もくすぶる火だね 社民、全会一致ならず オール沖縄内、駆け引きも


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 次期衆院選に向けた社民党県連の候補者選考を巡る混乱は、新垣邦男北中城村長の擁立決定で一応の決着となった。しかし、執行部が目指した全会一致には至らず、挙党態勢の構築に不安を残した。党外からも沖縄2区は「社民党の議席ではない」との意見が公然と上がるなど、波乱含みの状況が続く。

 照屋寛徳氏の引退意向を受けた次期衆院沖縄2区の人選を巡っては、社民党県連幹部や後援会幹部で組織する選考委員会が昨年6月に新垣氏を後継とすることを決めた。だが、組織としての擁立を諮った県連執行委員会で手続きの在り方などを巡って異論が噴出し、昨年9月から続く協議は平行線をたどっていた。

 15日の執行委員会は午前10時から約1時間半行われた。冒頭に県連四役は「挙党態勢の構築に向けて全会一致が望ましい」との意見を繰り返した。しかし、党員ではない新垣氏を後継に選出した執行部のやり方などに数人の委員が反発。とりわけ地元である2区内の執行委員から3人が反対の意思を明確にするなど、意見は折り合わなかった。

 会合後、反対に回った執行委員は「党内にふさわしい人がいるのになぜなのか。最後までその疑問は解消されなかった」と執行部の姿勢を批判した。

 社民党県連執行部は、玉城デニー知事を支える県政与党の各党会派会議で今回の決定を報告し、「オール沖縄」の候補者として新垣氏への支援を求めていく。だが、国政選挙の共闘を前提とする「オール沖縄」の陣営内でも火種がくすぶっており、決定に向けて曲折が予想される。

 これまで社大や共産の幹部は「社民の議論を見守る」と静観姿勢をとってきたが、会派おきなわの赤嶺昇県議=浦添市区選出=は県政与党全体での選考委員会の設置を主張していた。赤嶺氏は「2区は社民党の議席ではないことを照屋大河氏と確認している」と今回の決定をけん制し、引き続き選考委の設置を求めていく考えを示す。

 オール沖縄の候補者が決まっていない衆院沖縄4区の人選を巡る各党の駆け引きが、新垣氏の2区擁立の調整に影響してくる可能性もある。今後の焦点が移る県政与党間の議論で、社民党県連の執行部にさらなる説明責任が求められそうだ。 (吉田健一)