強靭な肉体、守備の要に アメフトXリーグ1部・IBMで活躍する樫本翔 悲願の日本一に挑戦


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アメリカンフットボールの社会人リーグ「Xリーグ」1部のIBMでDLとして活躍する樫本翔(左)=9日、クリード西原マリンパーク

 アメリカンフットボールの社会人クラブチームリーグ「Xリーグ」1部で、活躍する県勢選手がいる。金武町出身のDL(ディフェンスライン)・樫本翔(29)(向陽高―琉大出―IBM)だ。身長178センチ、体重115キロは、日本トップリーグに属する強豪・IBMの中では小柄。だが、その強靱(きょうじん)な肉体で敵のオフェンスラインを切り崩す守備の要として活躍する。チーム悲願の日本一を目指し、樫本は挑戦し続けている。

 高校時代は硬式テニス部で活躍したが「テニス部にしては体が大きい方だった」という。大学入学直後の部活動紹介でアメフトと出合い、「こんなにも全力で人にぶつかることができるスポーツがあるのか」と衝撃を受け、入部した。

 当時の琉大アメフト部は人数も少なく、体重70キロ以上は前衛のラインに振り分けられた。2年次だった2010年、琉大アメフト部が正式に九州リーグに参戦した。通常、選手はポジションの専門性や技術力を高めるため、攻守どちらかで出場する場合が多い。だが、琉大は人数も少なく、樫本は攻守両方で出場するハードな日々だった。しかし、その甲斐もあって、チームは3季目で初の1部昇格を果たすなど、一時代を築いた。樫本が4年生の時だった。

 「もっとプレーしたい」。九州リーグ1部でのプレーは、樫本をアメフトに没頭させる大きな転機になった。卒業後にIBMのトライアウトに合格し、入団。1年目は練習生として参加し、周囲とのレベルの差を痛感した。「技術はなかったが、フィジカルを意識していた」と当たり負けしない体幹や筋力づくりに取り組むと、2年目から攻守で計60人の登録メンバー入りを決めた。

 チームは16年の東日本社会人選手権(パールボウル)で初の決勝進出を果たし、勢いそのまま初優勝。当時の樫本は出場はかなわなかったが、入団4年目を迎えた18年ごろから出場機会も増えてきた。昨季はリーグ5位に終わったが、今季は「秋季リーグで日本一を目指す」と、ディフェンスラインとしての技術を磨く。

 毎年春には樫本のアメフトの原点でもある、琉大のOB戦に参加する。ことしも参加した樫本は「十分(全国でも)勝てる素質を持つ選手ばかりだ。同じXリーグで活躍できる選手が出てくるのが楽しみ」と、後輩たちへ笑顔でエールを送った。 (上江洲真梨子)