「スマホなしはマジ無理」 夜遊びする友達の居場所はアプリで確認 「警察いる」情報もネットで スマホの普及で夜遊び変化


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遊び仲間とのSNSでのやりとりを説明する高校を卒業したばかりのAさんとBさん

 「暇な時はユーチューブかゲームをしてることが多い」「携帯無しはマジで無理」。携帯電話を手にしながら話すのは沖縄本島中部の高校を1日に卒業したAさん(18)とBさん(18)。2人とも見た目は今どきの男子高校生。友人や家族とのコミュニケーションツールはスマートフォンが中心だ。2019年、県内の少年補導数が42年ぶりに1万人を下回ったが、大幅減の背景にはスマホなどの普及によって、大人たちの監視の目が行き届いていない現状も存在している。

 Aさんは18年、本島中部の飲食店で仲間と飲酒中に警察に補導された。「先生に怒られ、悪いことをしたなと思った」と反省の様子を見せる。友人らと遊びに出る際は、もっぱらスマホの会員制交流サイト(SNS)でやりとりする。「誰がどこにいるのか、友だちの現在地がスマホで分かる」とスマホを開いてアプリをタッチする。

 全国の若年層から人気の「Zenly」というアプリは、表示された地図上に24時間リアルタイムに友人の位置情報が表示される。Aさんはこのアプリを使い仲間内で現在地を共有し、いつ、どこで、誰が、何をしているのかを常時確認している。そのため、夜間に遊び仲間を求めて街をうろつくことはほとんどないという。

 Bさんは、公園などで夜間にたむろする高校生らが減った実感はないと明かす。一方で「あっちに警察がいた」などの情報はネット上でいつでも閲覧できるため、警察がいたという場所には近づかないようにする時もあると漏らす。

 19年に現役高校生ら複数の少年が大麻をめぐり摘発された事件について、Bさんは「地元の友達が1人捕まった」と話す。先輩や友人とのSNSのやりとりで大麻の話を耳にしたことはあるが、「実際には(大麻を)見たこともない」と語る。

 4月から2人は就職や進学で沖縄を離れる。「県外で友人らの位置情報が分かるアプリを見ると寂しくなるから消すはず」。まだあどけなさを残した表情ではにかんだ。
 (高辻浩之)