「なりすまし」で偽の情報を発信 いじめ、犯罪にも<スマホとのつきあい方>3


「なりすまし」で偽の情報を発信 いじめ、犯罪にも<スマホとのつきあい方>3
この記事を書いた人 Avatar photo 熊谷 樹

夏休みももうすぐ終わります。自由時間が増えるため、いつも以上にスマホを使う時間が長くななった中高生も多いことでしょう。長期休みはスマホへの依存が高まるだけでなく、スマホをめぐるトラブルや事件の発生も増える時期です。何気なく入力した言葉や送ってしまった写真、画像を巡り、一生後悔する事態に陥ることもあります。中高生が巻き込まれやすい犯罪やトラブルはどのようなものがあるのか、マンガや新聞記事をもとに考えましょう。

「なりすまし」で裁判に?

SNSで偽のアカウントを作り本人のふりをして投稿したり、本人の画像を勝手に使ったりすることや、相手のアカウントにログインし、本人が書いたように投稿する「なりすまし」。中高生が関わる「なりすまし」は、相手へのいたずらや嫌がらせで始まることが多いと言われています。軽い気持ちで始めた「なりすまし」がいじめにつながり、裁判にまで発展することもあります。

(徳島県警・徳島県教育員会提供、沖縄県警協力)

相手への嫌がらせやいたずらで、偽アカウントを使って友だちになりすまし、嘘の情報や他人を傷つける内容を投稿することは、誹謗中傷になり「いじめ」になります。名誉毀損や侮辱罪で損害賠償や慰謝料請求に発展することもあります。

名誉毀損<刑法第230条>

3年以下の懲役もしくは禁固または50万円以下の罰金

個人的なブログやSNSなどに、誹謗中傷を書き込むとこの罪に問われることがあります。例え書いたことが事実でも社会的な評価を低下させるおそれがある場合、罪に問われます。

侮辱罪<刑法第231条>

1年以下の懲役もしくは禁固もしくは30万円以下の罰または拘留もしくは科料

「チビ」「デブ」「バカ」などの誹謗中傷をネットに書き込むと、この罪に問われることがあります。根拠を示すことなく他人をおとしめる言動をとると、この罪に問われます

信用毀損および業務妨害<刑法第233条>

3年以下の懲役または50万円以下の罰金

「動物園からトラが逃げた」とウソをネットに書き込むなどしたら、この罪に問われることがあります。

威力業務妨害<刑法第234条>

3年以上の懲役または50万円以下の罰金

「会場に爆弾を仕掛けた」とネットに書き込んで、イベントを中止させる行為などがこれに当たります。

県内でもSNSで知人になりすまして、嘘の情報を投稿したとして名誉毀損などの疑いで逮捕された事例もあります。

2018年3月3日付の琉球新報27面に掲載

大人の世界だけでなく、中高生でもなりすましで特定の人の評判を落としたり、〝いじる〟などの行為があったりします。生成AIが進化することでより本物っぽい画像が作れるようになり、ますます簡単になりすましができるようになるでしょう。面白半分で投稿を拡散したり噂をなが流しすることは、いじめの片棒を担ぐことに他なりません。

なりすましが発覚すると、友人関係が壊れてしまうことはもちろん、名誉毀損や侮辱罪で訴えられる可能性もあります。「なりすましをしない」「なりすましに引っかからない」ことが大切です。