なくならないネットいじめ 大人の世界でも<スマホとのつきあい方>4


なくならないネットいじめ 大人の世界でも<スマホとのつきあい方>4
この記事を書いた人 Avatar photo 熊谷 樹

夏休みももうすぐ終わります。長期の休みはスマホへの依存が高まるだけでなく、スマホをめぐるトラブルや事件の発生も増える時期です。何気なく入力した言葉や送ってしまった写真、画像を巡り、一生後悔する事態に陥ることもあります。中高生が巻き込まれやすい犯罪やトラブルはどのようなものがあるのか、マンガや新聞記事をもとに考えましょう。

SNSを使ったいじめ、誹謗中傷なくならず

LINE外しや偽アカウントなど含むSNSやインターネット上のいじめや嫌がらせを「ネットいじめ」といいます。LINEをはじめとするSNS上のトラブルからいじめに発展した例も少なくなりません。ネットいじめは「いじめ防止対策推進法」で禁止され、重大な人権侵害で名誉毀損や侮辱罪に問われるものです。しかし、ネットいじめは増加傾向にあり、2021年度の文部科学省調査では小中高校合わせて2万1900件と過去最多の認知件数となりました。

ネットいじめが原因で児童・生徒が自殺した例もあります。

2018年10月26日付の琉球新報3面に掲載
2019年3月19日付の琉球新報24面に掲載

ネットいじめは子どもだけの問題ではありません。大人の世界でも、人気番組に出演していた女子プロレスラーの木村花さんがネットでの誹謗中傷を苦に自らの命を絶ちました。

2020年5月26日付の琉球新報20面に掲載

木村さんの悲しい事件以降も、SNSの誹謗中傷に苦しむ人は後を絶ちません。

2021年8月1日付の琉球新報26面に掲載

デマ(いい加減な噂話)を拡散し、差別的な動きにつながったり日常生活を脅かされたりする被害もあります。

2020年10月16日付の琉球新報28面に掲載

SNS上で悪口が多くなる理由として、沖縄県警生活安全部少年課の荷川取尚志さんは①多くの人に見られているという自覚がない②「誰が書いたかバレないだろう」という安易な気持ち③「みんなやっているから」という間違った理解、が挙げられると指摘します。友だち同士で悪口を言う感覚で書き込んだ言葉が世界中に広がり、誰かを傷つけ、自分自身を追い詰めることになります。

SNSなどで誹謗中傷や脅迫を行い、相手を精神的に追い詰めて間接的に死を追いやることを「指殺人」と呼ぶことがあります。スマホやパソコンを打つ指で相手を死に追いやるという意味です。何気なく書いた一言で傷付く人がいることを自覚し、自分の発言を見直してみましょう。