沖縄署襲撃のきっかけとなった高校生失明事件 誹謗中傷もSNSで拡散


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投石に備え、盾をかまえて沖縄署の玄関前に並ぶ警察官=2022年1月28日、沖縄市山里(又吉康秀撮影)

 事件は、2022年1月27日未明に沖縄市宮里の路上で発生した。起訴状などによると沖縄署に勤務していた男性巡査の警棒が、バイクに乗った当時高校生だった男性の右目付近に当たり、男性は右目失明などの大けがを負った。

 同事件をきっかけに同日深夜から翌28日未明にかけて、見物人を含めて最大400人近くが沖縄署に詰めかけて一部が暴徒化。投石などにより庁舎が破壊されるなどの異例の事態を招いた。襲撃騒動を巡っては暴力団員の20代の男が暴力行為法違反(集団的器物損壊)容疑で逮捕されたほか、当時高校生の少年らが同法違反で書類送検され、23年2月までに計15人が摘発された。

 男性の失明事件について県警は、巡査の警棒のDNA鑑定などの捜査を進めた上で、22年11月に巡査の行為を故意による暴行と認められるとして、特別公務員暴行陵虐致傷容疑で那覇地検に書類送検。起訴を求める厳重処分の意見も付けた。書類送検に合わせて被害に遭った男性に謝罪もしたが、「遅過ぎる」(男性の親族)との指摘もあった。

 同事件を巡っては、SNSなどで男性への誹謗(ひぼう)中傷や不確かな情報も拡散した。県警は男性が無免許、ノーヘル運転をしたり、暴走行為をしたりしていたなどとする情報は誤りだとしている。