旅行自粛に至ったのは? 県外からの「移入例」相次ぎ危機感


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県内で6例目の新型コロナウイルス感染症患者が出たことを受け、県危機管理対策本部会議を開いた玉城デニー知事=26日、県庁

<解説>
 県内で新型コロナウイルス感染症の新たな患者が確認されたことを受け、玉城デニー知事は26日の県危機管理対策本部会議で、県民の旅行自粛を呼び掛けた。背景には国内外への渡航後や、県外から訪れた人が感染者となる「移入例」が相次いでいることへの危機感がある。

 今月に入り、移入例の患者が相次いでいる。県内在住の10代女性が海外に渡航し、成田空港検疫で感染が確認された例もあった。県によると26日に感染が明らかとなった30代男性も2週間以内に県外への渡航歴があった。

 さらに25日には、東京で新たに40人を超える患者が発生するなど、大都市圏で急速に感染が拡大している現状もある。学校が春休みに入り、人の移動が多くなる時期と重なり、ウイルスの流入を防ぐためにも、知事が自ら強いメッセージを出すことで県民の感染症に対する意識を改めて高める狙いがある。

 県は25日に感染症専門の医師らを招いた「専門家会議」の初会合を開いた。助言を受け、県内で爆発的に感染者が増えた場合も想定した医療体制の確保を進めるほか、段階に応じてさまざまな制限や施策を展開していく構えだ。

 旅行自粛呼び掛けに強制力はないが、県の施策展開と両輪で、県民一人一人の感染症防止に向けた対応も求められている。
 (池田哲平)