虐待とDV、支援の在り方は 糸満で講演「母子で保護」「司法介入」強調


社会
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虐待とDVについて語る森田ゆりさん=糸満市社会福祉センター

 【糸満】「子ども虐待とDV~暴力による『心の支配』~」と題した講演会がこのほど、糸満市社会福祉センターで開催された。講師でエンパワメント・センター主宰の森田ゆりさんはドメスティックバイオレンス(DV)について「DVの恐怖はマインドコントロールにあり、被害者は言うことをきかなければ殺されるという死に直結する恐怖がある」とし、DVと虐待が併発している場合には「母子で保護」を強調した。

 講演は、県子ども虐待防止推進事業の一環で開催。市内外から約180人が参加し、熱心に耳を傾けた。

 森田さんは、2001年に虐待に至ってしまった親の回復プログラム「MY TREEペアレンツ・プログラム」を開発した。19年間で1138人の虐待言動を終止した修了生を出している。

 森田さんは、目黒虐待死事件と野田虐待死事件についての共通事項として(1)児童相談所が一時保護し、保護解除した後に事件が起こっている再虐待の事例であること(2)母親はドメスティック・バイオレンス(DV)の被害者だったこと―を挙げて説明した。

 また「一時保護の後、親自身が変わるための回復プログラム受講命令制度のような司法介入制度の創設が必要だ。司法の直接介入がないまま、子どもへの虐待対応が何もかも児童相談所に丸投げされている」と、支援の在り方についての問題点を指摘した。

 参加者からは「具体的な支援方法を知り、書籍を購入して、もっと勉強したいと思った。大変な経験をしてきた人ほど、それをばねにして強くなる力があるという言葉が印象に残った」「司法も交え、母と子、また父にもたくさんできることがまだまだあると思った」などの感想が寄せられた。