手続き煩雑、労働局現場は混乱 新型コロナの雇用調整助成金


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 新型コロナウイルス感染症の広がりを受けて、事業主が一時的に休業する際の雇用を維持する支援策として、国は雇用調整助成金を支給している。だが、申請書類が多く、手続きが煩雑なため、労働相談の窓口には事業主からの手続き方法や申請条件に関する問い合わせが相次ぎ、現場は混乱している。

 手続きにはまず計画届が必要で10種類以上の書類を提出しなければならない。その後、2カ月の判定基礎期間を経て、支給申請ができる。受給までさらに2カ月がかかる見込みだ。事業主は助成金の受給を待つ間も、休業手当として労働者に賃金の6割を支払う義務がある。

 各種労働組合からは「中小零細企業の多い県内でこれだけの書類を用意するのも、休業手当を払い続けるのもできるはずがない」という声が上がる。

 観光客向けにアクセサリーなどを販売する事業主の30代女性は「約5回は労働局を訪れ、ようやく書類を提出できた。ほっとした。担当者によって対応が変わったり、電話がつながらなかったりで動きようがない状態が続いていた」と手続きの複雑さを指摘。制度の周知徹底を求めた。

 沖縄労働局の「新型コロナ感染症の影響による特別相談窓口」には、2月14日の開設から4月3日までの間に1994件の相談が寄せられた。このうち約7割に当たる1416件が雇用調整助成金に関する問い合わせだった。職業対策課によると、これまでに150件以上の休業計画書の提出があったという。知念照二課長は「人員態勢を強化して迅速な手続きができるように努める」と説明する。

 玉城デニー知事は県の経済支援策として、中小企業の自己負担が生じないよう国の雇用調整助成金に独自で上乗せすることを発表したが、詳細はまだ調整中で運用がいつになるかは未定だ。
 (比嘉璃子)