騒音、有害物質漏出… 米軍普天間飛行場 危険性放置したまま 返還合意24年


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米軍普天間飛行場(資料写真)

 米軍普天間飛行場の全面返還合意から12日で24年を迎えた。だが、返還は実現されず、周辺住民は墜落の危険や騒音被害にさらされ続けている。10日には有害物質PFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤が宜野湾市の住宅地側に漏れ出す事故が発生し、地下水汚染など環境への影響も深刻な問題となっている。

 米軍の戦略や工事の長期化など状況が変化しているにもかかわらず、日米両政府は県内に代替施設を確保することを条件にした計画を見直すことなく、普天間返還の「唯一の選択肢」として名護市辺野古での新基地建設に固執している。

 埋め立て予定海域では軟弱地盤が見つかり、政府は地盤改良工事を組み込むため、基地建設が完了して米軍に使わせるまでに少なくとも12年がかかると試算している。辺野古移設が進んだとしても工期の長期化と工費の増大は必至で、試算通りだと2030年代までになる。

 松川正則宜野湾市長が「長い」と指摘する通り、普天間飛行場の危険性を早期に除去する手法として強い疑問の声が上がっている。

 国際情勢も変化した。中国のミサイルなど軍事力が増した結果、米軍自身が戦略を変え、固定的な基地を設けるよりも柔軟な分散配置を重視している。県が有識者の意見を反映させるために設置した「米軍基地に関する万国津梁(しんりょう)会議」は、その戦略変化を踏まえ、在沖米軍基地を県外・アジア地域に分散させることが妥当だと玉城デニー知事に提言した。

 玉城知事は、政府が辺野古移設に固執することが普天間飛行場の返還を遅らせることにつながると指摘し再考を求めている。