自由に墓行き来願い 宜野湾・比嘉和子さん 普天間飛行場内で清明祭


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 【宜野湾】米軍普天間飛行場内に先祖の墓がある比嘉和子さん(71)=宜野湾市=が12日、家族3人で基地内を訪れ、清明祭をした。比嘉さんらは墓を丁寧に掃除した後、手を合わせ先祖を供養した。今年は同飛行場の返還合意から24年の日と重なった。基地内には米軍の許可を得て、年に1回しか入れない。「自分の墓なのに自由に行き来できない。早く返してほしい」と願い続けている。

清明祭で、墓を掃除する比嘉和子さんら家族=12日、宜野湾市の米軍普天間飛行場内

 市によると、今年は445人が立ち入りを届け出た。比嘉さんらは15人で訪れる予定だったが、新型コロナウイルス感染症の影響で3人のみの参加になった。墓を拭いたり雑草を取り除いた後、花や線香、収穫した野菜などを供えた。

 返還合意の際はうれしくて墓前に報告した。しかし24年たった今でも、返還の見通しは立っていない。比嘉さんは「もうこの年になってしまった。希望がうせていくような気持ちもある」と胸中を吐露した。

 10日には、同飛行場から有機フッ素化合物の一種PFOS(ピーフォス)を含む泡消火剤が流出する事故も起きた。

 「沖縄は空からも陸からも危険がやってくる」と比嘉さん。墓を自由に行き来できる日を心から願っている。