補償に向けた評価チームを農家に派遣へ 豚熱「収束」宣言


社会
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玉城デニー知事

 県内で34年ぶりに感染が確認された豚熱(ぶたねつ)(CSF)の感染拡大防止に伴う制限区域が全て解除になったことを受け、玉城デニー知事は14日、県庁で臨時記者会見を開き、豚熱の「収束」を宣言した。一方で殺処分となった豚の補償はまだ農家と行政との調整段階にあり、県は手当金を査定する「評価チーム」を農家に派遣し、17人体制で経営再建に向けた支援を進める。

 1月8日にうるま市の養豚場で豚熱の感染が確認されて以降、発生農場周辺には「移動制限区域」(半径3キロ圏内)と「搬出制限区域」(半径3~10キロ圏)が設けられ、ウイルスの拡散を防ぐため豚の移動や出荷が制限されていた。

 搬出制限区域は今月4日に解除されており、移動制限区域も14日午前0時をもって解除を迎えた。

 区域制限は98日間にわたり、会見した玉城知事は一連の防疫措置に携わった関係者に感謝した。

豚熱発生以降の経過

 玉城知事は「引き続き飼養衛生管理基準の順守、食品残さの加熱処理、農場や車両の消毒を徹底する。異常豚を確認した際は、管轄の家畜保健衛生所へ早期通報してほしい」と呼び掛けた。

 移動制限区域内の養豚場は71戸で、これまで豚の出荷や移動が禁じられていたため、豚が育ちすぎて飼養密度が高まっていた。解除を受け、14日に食肉加工施設への豚の出荷が再開。名護市食肉センターは約30頭、県食肉センターは40~50頭の豚を受け入れた。

 3月6日から沖縄本島の全ての豚を対象に実施している予防的なワクチン接種は、4月末に全頭接種を終える見込み。発生地域への接種が残されており、14日には搬出制限区域内でも接種が実施された。

 県内での豚熱感染は1月8日から3月12日に、うるま市と沖縄市で計7例を確認した。感染の拡大を防ぐため、10養豚場で計1万2381頭の豚を殺処分した。

 江藤拓農相は14日の閣議後会見で「(この状況を)継続しなければいけない」と述べ、再発防止の観点から飼養衛生管理基準の徹底を改めて指摘した。種の保存の観点からアグー豚の隔離も進んでいるとし、「ブランドを守る意味でも、しっかり頑張ってほしい。できる協力はいくらでもしたい」と語った。