沖縄の感染「対策なしなら1日9000人」検査センター設置求める 県医師会に専門家ら


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 群星沖縄臨床研修センター(浦添市)の徳田安春センター長らは15日までに、新型コロナウイルスのPCR検査センターを公共施設などに設置し、医師の判断でセンターに患者を案内するよう求める緊急提言を県医師会に行った。検査を増やして早期診断と隔離対策を進めない場合、今年12月初旬までに県内の感染者数が1日で9千人を超えるとの予測も示した。

「実際の感染者、発表の12倍程度」

 緊急提言は世界保健機関(WHO)の感染症疫学専門家らの協力を受けてまとめた。今月11日までのデータを基に、県内の新型コロナ感染者数の予測モデルを示した。1人の患者が平均的に何人へ感染させるかを示す指数を「R0(基本再生産数)」という。沖縄は4月上旬以降、同指数の瞬間値(Rt)が1より大きくなった。仮に県内でR0が1・68のペースで拡大を続けると、感染者数が1日9千人を超えるという。一方、十分な対策をとった場合にR0が1・08であれば、感染はほとんど広がらないと予測した。

 徳田氏は「ワクチンの開発と使用までに最低あと1年半はかかる」と推測する。厚労省のPCR検査態勢について「検査対象が重症者や濃厚接触者に事実上制限され、実際の感染者数を過小評価している。実際は発表人数の12倍程度の感染者がいる」と語る。

 提言では、軽症者などの検査を実施するPCR検査センター設置場所として、公共の公園や運動場などを挙げた。センターの運用は地域の医師会などが担う。検体採取の担当は医師などに加え、医療資格のあるボランティアへの依頼を勧めている。感染を疑う人はかかりつけ医へ電話し、原則は遠隔診療で医師が検査の必要を判断し、PCR検査センターへ案内する。検体を採取し、現場または外注の検査システムへ検体を搬送し、迅速に検査結果を医師に報告する。

 徳田氏は「検査を増やして感染者診断と感染接触者追跡を徹底的に行えば、外出自粛や学校閉鎖の解除も可能だ」と強調した。徳田氏によると、同内容の提言を今月4日に東京都医師会にも行い、都医師会は導入を決めたという。