雇用助成金の申請17件 簡素化も「手続き煩雑」相談相次ぐ


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 新型コロナウイルス感染症の影響で事業の縮小を余儀なくされた事業者が雇用を維持した場合に支給される雇用調整助成金の沖縄県内の利用状況は23日時点で休業計画届は435件、支給申請は17件にとどまっている。沖縄労働局によると、現在、支給申請をしている事業主は3月までに休業した宿泊業や旅行業が多い。休業計画届は4月後半に入ってから、販売業、小売業、飲食業が増えているという。雇用調整助成金を巡っては「手続きが煩雑」との指摘がある。

 今月10日以降は記載事項の半減や添付書類も既存書類で受け付けるなど、手続きの簡素化が進められている。沖縄労働局でも手続きに当たる職員を増員し、休業計画届の提出から助成金の受給まで通常であれば約4カ月要するところを最短2カ月以内で完結できるように体制を整えたという。

 しかし各種相談窓口の相談員らによると、簡素化されても効果はまだ見えないという。

 中小企業や小規模事業者から経営について、さまざまな相談を受け付けている県よろず支援拠点では事業主から「手続きが面倒くさい、難しい」といった相談が多く寄せられている。

 同支援拠点によると、受給までには最短でも約2カ月を要するが、その間も休業手当を支給しなければならず、事業を継続するためには手元に資金が必要。そのため、各種相談窓口では融資と並行での手続きを進めるように勧めている。同支援拠点の金城力サブチーフコーディネーターは「返済猶予もあるので沖縄振興開発金融公庫と民間の双方の融資を活用するよう勧めている」と話した。

 那覇商工会議所は9日、雇用調整助成金の申請アドバイスや経営相談を受けられる「緊急経営相談窓口」を設置した。雇用調整助成金については平日午後1時から5時まで社会保険労務士が30分単位の相談に無料で応じているが、開設以来、毎日8件は相談が入るという。

 現時点で県の緊急支援金や国の小規模事業者持続化補助金について手続きの詳細は分かっていない。當山修治専門経営指導員は「那覇商工会議所では返済期間が15年のものや金利の払い戻しがある融資もある。ぜひ活用してほしい」と述べた。
 (比嘉璃子)