社会

仕事、透析治療・・・募る不安 高齢母との2人暮らし「共倒れ怖い」

前年に比べ大幅に落ち込んだ4月の無線予約件数表を見つめる男性=7日午後、宜野湾市真志喜

 「今はどうにもならない状況で、早く普段の暮らしに戻るのを願うばかりだ」。沖縄県宜野湾市在住の男性(55)は本島のタクシー会社で無線室の主任として働く。県内でも新型コロナウイルスの感染が拡大し、タクシー利用者は激減した。4月は満額の給料が出たが、5月は減る見通しだ。「外出自粛が終わっても観光客はすぐに戻ってこない」。先行きの見えない状況に、不安は増す一方だ。

 無線室にかかってくる配車の依頼件数は前年の4月と比べて7割ほど減った。「17年間、働いてきたが、こんなに少ない数字は見たことがない」。無線件数表を見つめ、ため息をついた。月額で約10万円の住宅ローンが8年分残っていて、このまま収入が減り続けると生活が厳しくなる。

 独身で80代の母親と2人で暮らす。現在、母親は感染防止のため自宅で一日を過ごす。母親はおととしがんを患い、昨年、放射線治療をした。免疫力が落ちているため感染リスクも高い。「母は出掛けるのが好きで模合も五つある。出掛けられないことで元気がなく、体力の低下も心配だ」と母親の様子を気に掛ける。

 男性は腎臓が弱く、透析のため週3日病院に通う。病院は来院者の検温や問診、消毒など感染防止対策が徹底されている。それでも常に満床状態の治療室に出入りしているため、新型コロナ感染への不安は拭えない。「自分はどうしても外に出ないといけない。自分が感染したら母にも感染すると思う。共倒れが怖い」と足元に目を落とした。

 那覇市在住の30代女性は1人で小学5年生と3年生の娘2人を育てる。仕事は専門職で4月中旬ごろから営業を休止している。休みの期間は特別休暇扱いになるが休業手当などはない。収入は4月から減り、生活が厳しくなった。消耗品や食費などの出費が重くのしかかり、今は自治会が運営する子ども食堂から食料の支援を受ける。女性は「(子どもたちの)休校が延びて正直、苦しい」と表情を曇らせる。

 娘2人は自宅で遊んだり、宿題をしたりしながら過ごす。自宅での自粛生活が続く中、気分転換のため朝早くに散歩に出掛けるが、娘たちのストレス解消にはつながっていない。「姉妹のけんかも増え、私が怒ることも多くなった。ずっと家にいるのも限界だ」と苦しい胸の内を明かした。
 (青山香歩)



関連するニュース







  • お知らせ


  • 琉球新報デジタルサービス



  • 会員制サービス






  • 他のサービス