与野党大物は来県せず、公明新人出馬とりやめ…県議選、影落とすコロナ


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報社
選挙カーから手振りで支持を訴える候補者ら=29日午後、本島南部

 29日に告示された第13回県議会議員選挙を巡っては、新型コロナウイルス感染症の影響が選挙運動に影を落とし、運動量の低下を懸念する声も上がる。各候補には有権者の投票行動喚起とともに、感染症対策も求められている。新たな選挙運動の形を模索しながら、熱い選挙戦の火ぶたが切られた。

 今回の県議選は、告示前の前哨戦から波乱含みの展開となった。公明党県本は4月下旬、政治活動や選挙運動を支える支持母体と県民の「命を守る」として、浦添市区の現職と那覇市区の新人の立候補を取り下げた。支持母体の関係者は「支持者から一人も感染者を出さないための苦渋の決断だ」と語る。

 さらに、今回の選挙で国政与野党ともに中央の大物議員の来県を予定したが、告示日までに実現していない。25日に政府の緊急事態宣言が全面解除されたものの、県境をまたぐ移動自粛は県議選後の6月中旬まで維持される見通しだ。各党ともに来県することへの反発や支持低下を懸念している。

 自民党は、29日にも予定していた下村博文選対委員長の来県を取りやめた。同党は本年度の運動方針で、東京や鹿児島など各地の都道府県知事選とともに沖縄県議選を挙げ「勝利のために党の総力を結集し戦い抜く」としていた。だが、感染症を念頭に総合的な判断で来県を見送った。与党幹部は「今、沖縄へ行くと冷たい目で見られる」と苦渋の表情を浮かべる。

 関係者によると、立憲民主党も枝野幸男代表らの沖縄入りを計画したが、感染症の影響で中止した。野党関係者は「他の政党がどうするかだ。先に応援を入れると、地元で問題になりかねない」と懸念する。与野党とも他党の動きに神経をとがらせている。

 感染症は労組の運動量の低下も招いている。労組関係者は「従来のような選挙運動ができていないのは確かだ。革新も保守も集会が開けていないので、どの候補にどれだけの支持者がいるのか分からない。今回は『見えない選挙』だ」と語った。

 告示を契機に各陣営ともに今後は運動量を上げ、支持拡大を図る考えだ。候補者の一人は「今まで選挙活動を慎重にしていたが、告示後のこれからが本当の勝負。集会などが持てなくても、スポット演説の数をこなすなどして支持を集めていきたい」と語った。
 (池田哲平、知念征尚)

特集・県議選2020