誹謗中傷と法規制 モバイルプリンスの知っとくto得トーク[162]


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モバイルプリンス

 

フジテレビの番組「テラスハウス」に出演していたプロレスラーの木村花さんが先月23日に亡くなりました。

木村さんは、ネット上での誹謗中傷【※1】に苦しんでいたとのことです。

誰でも手軽にできる「ネットの書き込み」は、言葉によって人を傷つけ、苦しめ、死に追いやります。

 

※1 誹謗中傷 … 「死ね」「消えろ」などの、相手を傷つける言葉。こうした言葉を使うと、「名誉毀損罪」「侮辱罪」に問われることも。根拠を出して「これはこうだと思います」と伝えるのは誹謗中傷ではなく批判で、法律違反にはなりません。

 

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この痛ましい出来事で、政府も悪意のあるネットへの書き込みを防止するような法改正に意欲を示しています。

一見良いことのように思える法改正の動きですが、実は非常に難しい問題です。

なぜなら、どこまでが悪意のある書き込みなのか線引きが難しいからです。

また、政治家などの権力を持った人たちが自分たちへの批判に対しても「違法です。逮捕します」という運用ができてしまいます。

そうなると、独裁国家のようになってしまい、言論の自由【※2】は失われます。

 

※2 言論の自由 … 誰にも制限されることなく自分の考えなどを表明する権利。自由と言っても責任が伴うため、問題のある発言をすると罰せられることもあります。

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相手を傷つける言葉は状況によっても変化します。例えば、問題のない「批判」であったとしても、相手がしっかりと受け止めてくれれば「アドバイス」としてプラスに作用するでしょう。

しかし、相手の心の余裕が無い時であれば、深く傷つくかもしれません。

言葉の選び方やタイミングで相手への届き方が大きく変わるので、しっかり考えて意味が伝わるようにしなければいけません。

「相手を傷つけないコミュニケーション」は簡単に取得できません。常に考え、試行錯誤しながら、ネットに書き込む必要があります。

 

イラスト・小谷茶(コタニティー)

【プロフィル】

 モバイルプリンス / 島袋コウ スマートフォンアドバイザー、フリーライター。沖縄県サイバー防犯PR大使を務め、スマホやインターネットの活動講座を学校などで実施。本連載をまとめた著書「しくじりから学ぶ13歳からのスマホルール」(旬報社)も発売中。

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